真壁政幹

真壁政幹の生涯と出自

真壁政幹（まかべ まさもと）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて美濃地方で活躍した武将です。彼の活躍した時期や出自については、さまざまな文献や資料が存在しています。

生涯の始まり

貞和2年/正平元年（1346年）頃、政幹は高山寺便智院領の美濃国小木曾荘の地頭として登場します。彼は、建武4年/延元2年（1337年）以降、検注勘料と年貢を高山寺に納める義務を果たさず、守護の土岐頼康に対する弁明も行わなかったため、足利直義から直接命じられることとなります。この出来事は、彼の政治的な立場や経済的背景を示す重要なエピソードとされています。

後の軍事活動

観応2年/正平6年（1351年）、政幹は北朝の一員として代官の森国幹を出羽国に派遣しました。この時期には、関係する文書がいくつか残されており、政幹が陸奥国会津郡蜷河荘にある勝方村の地頭でもあったことが明らかになりました。具体的には、着到状や軍忠状と呼ばれる文書の中に、その記録が含まれています。このような文書は、政幹の軍事的な影響力を伺わせる重要な資料です。

死去と継承

文和2年/正平8年（1353年）、政幹は享年38でこの世を去りました。ただし、彼が亡くなる前年の観応3年/正平7年（1352年）には、真壁小太郎政幹が嫡孫の孫太郎広幹に対し、常陸国真壁郡山田郷の譲状を発行しています。譲状には「父子各別」という文言が含まれており、政幹の嫡男が南朝方に仕官していたため、祖父から孫への地位の継承が行われたと考えられます。このことから、広幹が家督を受け継ぐ年頃であったことが推測されるほか、政幹が小木曾荘も譲ったことが言及されています。

出自の考察

常陸真壁氏の系図においては、政幹は真壁高幹の子であるとされていますが、現在の研究によれば、彼は美濃真壁氏の末裔とされています。具体的には、政幹は常陸国真壁氏の2代目、高幹の子であると同時に、実母から小木曾荘を継承した薬王丸（成人後の名は不詳）の子と考えられています。このため、政幹の出自には確認が必要とされる場合もあります。特に、彼の孫である広幹は室町幕府の命により東国に下った際に、元々の常陸国真壁氏の惣領家を美濃地方に放逐し、宗家の地位を奪ったとする見解が広まっています。

参考文献

• - 安田元久『鎌倉・室町人名事典コンパクト版』新人物往来社、1990年
• - 『前田家所蔵文書』
• - 『真壁文書』

以上のように、真壁政幹の生涯や出自を深く掘り下げることで、彼が美濃の地において果たした役割や影響が明らかになります。彼の業績や家族関係は、当時の武士社会の複雑さを反映する重要な歴史的考察の材料となるでしょう。

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