真木重遠

眞木 重遠（まき しげとお）は、弘化4年6月9日（1847年6月9日）に生まれ、昭和6年（1931年）2月3日に没した、日本の牧師であり、かつては長岡藩の藩士でした。家禄は百石。彼は、かつて失脚した眞木越中守（家禄三千石）や長岡藩士の眞木小太夫重基（家禄千七百石）といった眞木家の嫡流に連なる人物です。キリスト者でありながらも、眞木家の墓地は、長岡市にある仏教寺院、長興寺の敷地内にあり、かの山本五十六の墓所と同一区域に位置しています。

長岡藩士時代

眞木重遠は、長岡藩の領地で生を受けました。若い頃、藩校である崇徳館において漢学を修めました。その後、幕末の動乱期には、慶応4年（明治元年、1868年）に勃発した戊辰戦争、特に北越戦争においては、藩士として戦列に加わりました。

英語との出会いと修学

維新後、明治政府の招聘により、アメリカ合衆国改革派教会の宣教師であるS.R.ブラウンが明治2年（1869年）に新潟に赴任し、官立の新潟英学校（男子校）で教鞭を執ることになりました。眞木はここでブラウンに師事し、英語の学習を開始します。
翌明治3年（1870年）7月16日、ブラウンは明治政府からの強い要請を受け、横浜に開設される修文館の責任者となるために横浜へ戻ることになります。その際、眞木重遠は阿部欽次郎ら他の5名と共にブラウンに随行し、横浜へ移りました。彼らは横浜の修文館においても、引き続きブラウンの指導のもとで学びを深めました。

キリスト教への入信と伝道開始

明治6年（1873年）、眞木重遠は師であるS.R.ブラウンから洗礼を受け、キリスト教徒となりました。そして、日本基督公会（現在の日本キリスト教会横浜海岸教会）の会員となります。
その後、工部省で通訳の職に就いていましたが、同じ日本基督公会の会員であった稲垣信と共に、長野県上田への伝道旅行に出かけました。この伝道活動がきっかけとなり、明治10年（1877年）、眞木は前年の旅行で訪れた地である上田において、上田基督公会（後の日本基督一致教会上田教会）の伝道師に就任します。同年10月、日本基督一致教会の中会が組織されるにあたり、眞木が伝道師を務める上田教会も、初期加盟教会のうちの一つとして名を連ねました。
明治11年（1878年）2月には、世良田志織と結婚しています。

牧師としての活動と開拓伝道

明治12年（1879年）9月、眞木重遠は日本基督一致教会の牧師として按手礼を受け、正式に牧師となりました。しかし、上田教会の牧師としての在任期間は短く、わずか1年3カ月後の明治13年（1880年）10月には辞任し、新たな開拓伝道の道に進むことを選びました。彼の辞任により、上田教会は一時的に牧師不在の状態となりました。
眞木は、その後明治16年（1883年）までの期間、長野県の南北佐久郡および小県郡において、精力的に開拓伝道を行いました。この開拓伝道の期間中に、春日村（現在の佐久市の一部）において、後にキリスト教の指導者となる岡部太郎が信仰に導かれました。

各地での伝道と晩年

開拓伝道を終えた後、眞木は明治19年（1886年）に東京へ移り、日本基督一致教会の麹町教会（現在の日本基督教団高輪教会）の牧師に就任します。さらに明治23年（1890年）には、大阪一致教会（現在の大阪女学院中学校・高等学校の前身の一つ）の校長を務めました。
しかし、翌年には再び伝道活動に力を入れるようになり、明治24年（1891年）には青森県で、明治30年（1897年）には長野県小諸で、明治33年（1900年）には長野県松本で、それぞれ伝道活動を展開しました。
その後、明治44年（1911年）に東京へ戻り、残りの生涯を過ごしました。

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