真野文二

真野文二（まの ぶんじ）

真野文二は、1861年12月15日（文久元年11月14日）に生まれ、1946年（昭和21年）10月17日に没した、明治時代から昭和初期にかけて活躍した日本の機械工学者です。号は蜂声。

彼は、教育者、官僚、政治家としても多岐にわたる分野で活躍し、文部省実業学務局長、九州帝国大学（現在の九州大学）総長、貴族院議員、そして枢密顧問官を歴任しました。真野の功績は、日本の近代化を支えた技術教育と研究の発展に大きく貢献したことです。

生い立ちと教育

真野文二は、江戸幕府の幕臣の子として江戸に生まれました。幼少期から学問に励み、カロザースの築地大学校で基礎を学んだ後、工部大学校（現在の東京大学工学部）に進学。1881年（明治14年）に機械工学科を卒業し、同校の助教授に任ぜられました。さらに、1886年（明治19年）にはイギリスのグラスゴー大学に留学し、機械工学の研究に励み、優秀な成績を修めました。この留学中に英国機械学会会員にも推挙され、国際的な視野を広げました。

研究と教育活動

1889年（明治22年）に帰国した真野は、帝国大学工科大学（現在の東京大学工学部）の教授に就任し、後進の育成に尽力しました。翌年には特許局審査官も兼務し、技術の発展にも貢献。1901年（明治34年）には、東京帝国大学教授を兼務したまま文部省実業学務局長に任ぜられ、日本の実業教育の発展に尽力しました。

1913年（大正2年）5月9日、真野は九州帝国大学の総長に就任し、1926年（大正15年）までその職を務めました。九州帝国大学の発展に大きく貢献し、大学の基盤を築きました。

政治活動と晩年

1927年（昭和2年）4月18日には貴族院勅選議員に任ぜられ、政治の世界でも活躍しました。1939年（昭和14年）からは枢密顧問官を務め、国家の重要事項に関する助言を行いました。

真野の妻は井深宅右衛門の娘であり、井深梶之助の妹であるサクでした。妻との死別は、彼の人生において大きな出来事でした。

没後と遺産

真野文二が亡くなった後、2007年（平成19年）に東京帝国大学時代の講義ノートが「機械遺産」として認定されました。これは、彼の教育者としての功績と、日本の機械工学の発展に対する貢献が評価された結果です。

栄典

真野文二は、その功績により数々の栄典を授与されています。

位階：正二位
勲章等：藍綬褒章、旭日章、瑞宝章、大礼記念章、帝都復興記念章、朝鮮昭和五年国勢調査記念章、昭和六年乃至九年事変従軍記章など
外国勲章：満州帝国の大満洲国建国功労章、満州帝国皇帝訪日記念章、建国神廟創建記念章など

著作

真野文二は、自身の研究や経験を基にした著作も残しており、その中には『蜂声集』（1941年）や、九州大学大学史料室が編纂した『総長訓示式辞 : 自明治四十四年四月至昭和二十年八月』（1998年）などがあります。

家族

真野文二の長男である真野正雄は、電気技術者として活躍しました。

参考文献

国立公文書館所蔵「枢密院文書・雑件・昭和十一年〜昭和十四年・四」
『20世紀日本人名事典』日外アソシエーツ、2004年。
富田仁『海を越えた日本人名事典』（新訂増補）日外アソシエーツ, 紀伊國屋書店 (発売)、2005年。
『コンサイス日本人名事典 第5版』三省堂、2009年。

関連文献

花房吉太郎、山本源太編輯 『日本博士全伝』 博文館、1892年8月
井関九郎監修 『大日本博士録 第五巻 工学博士之部』 発展社出版部、1930年9月
『真野博士長寿祝賀会事業報告』 真野博士長寿祝賀会事務所、1941年3月
国立公文書館所蔵「枢密院文書・高等官転免履歴書三・昭和十一年〜昭和二十二年」
『国立公文書館所蔵 枢密院高等官履歴 第7巻』 東京大学出版会、1997年3月
武藤茂春 「機械学会の創立者 真野文二」（前田清志編 『日本の機械工学を創った人々』 オーム社〈テクノライフ選書〉、1994年5月）
三好信浩著 『日本工業教育発達史の研究』 風間書房、2005年12月
九州大学百年の宝物刊行委員会「第6章 97.歴代総長の肖像」『九州大学百年の宝物』丸善プラネット, 丸善出版 (発売)、2011年

外部リンク

帝国議会会議録検索システム - 国立国会図書館
百周年の窓 100年を支えた22人のトップたち - 九州大学
Bunji Mano - The University of Glasgow Story
* 写真目録九州帝国大学時代 - 九州大学大学文書館

真野文二は、その多岐にわたる功績により、日本の近代化に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

もう一度検索