矢倉岳

矢倉岳について

矢倉岳（やぐらだけ）は、神奈川県南足柄市に位置する標高870メートルの山で、足柄山地に属しています。この地域は箱根山地と丹沢山地の間に広がっており、金太郎伝説で有名な金時山の北側にあたります。矢倉岳の特徴的な形状は、おにぎりを立てたようなものと称され、足柄平野から見ると非常に目立つ存在感を示します。特に、その山容は見る人の印象に深く残ります。

山頂は平坦な裸地で構成されており、そこには木造の見晴台が設置されています。この展望台からは足柄山地一帯を360度見渡すことができ、富士山や金時山、明神ヶ岳といった美しい山々、さらには丹沢山地や相模湾の景色を一望できます。

矢倉岳という名前の由来には、金時山と矢倉岳の鞍部にある足柄峠を越える旅人を見張る「櫓」のような姿が関係していると言われています。ここの独特の地形が、名前の由来とされることも、訪れる登山者にとっては面白い情報の一つです。

地質

矢倉岳の地質は興味深いもので、足柄山地の多くは約200万年から70万年前に形成された足柄群層に由来していますが、矢倉岳自体は石英閃緑岩で構成されています。この岩は足柄群層に貫入したもので、約100万年前に形成された比較的新しい深成岩となっています。地質学的には、金時山から流れる内川断層によって、箱根山地と足柄山地は隔てられています。

登山情報

登山が人気の矢倉岳には、いくつかの登山ルートがあります。主なルートは、東麓の矢倉沢、南麓の地蔵堂、足柄万葉公園（足柄峠の北）からのものです。これらのルートはいずれも約2時間ほどで山頂に到達できるため、登山初心者やファミリーにもおすすめです。特に、足柄万葉公園は2月上旬から3月上旬にかけてウメの美しい季節を迎えるため、訪れる価値があります。

登山口へのアクセスも便利で、関本（大雄山駅前）からバスが運行されているため、大雄山線利用者や小田急線の新松田駅からもアクセス可能です。また、足柄万葉公園へのバスは土休日限定で運行されていますが、冬季には運休します。登山道を利用することで、四季折々の自然を楽しむことができるこの場は、登山愛好者に親しまれ続けています。

参考文献

• - 『箱根 金時山・駒ヶ岳 2011年版 (山と高原地図 29)』 昭文社
• - 『東京付近の山』、実業之日本社
• - 『丹沢・箱根 日帰りハイキング』、実業之日本社
• - 『神奈川の自然をたずねて』、築地書館
• - 『神奈川県の山』、山と渓谷社

矢倉岳は、その美しい自然と手軽に登れる登山ルートが魅力の、親しみやすい山です。山頂からの絶景を楽しみ、日常を離れた自然の中でリフレッシュするには、最適なスポットでしょう。

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