足柄平野

足柄平野：豊かな水と恵み、そして災害の歴史

足柄平野は、神奈川県南西部に広がる平野で、関東平野の一部を構成しています。北は丹沢山地、東は大磯丘陵、西は箱根外輪山に囲まれ、南は相模湾に面した、自然豊かな土地です。酒匂川とその支流である狩川が流れ、この地域に豊かな水資源をもたらしています。

地理的特徴

足柄平野は、酒匂川によって形成された沖積平野です。丹沢山地から流れ出る酒匂川は、平野を貫流し、相模湾へと注いでいます。狩川もまた、酒匂川に合流し、平野の形成に貢献しています。長い年月をかけて堆積した土砂により、南部には鴨宮段丘などの地形も見られます。平野全体としてはなだらかな地形が広がっています。

特徴的なのは、その豊富な水資源です。至る所に井戸が掘られており、地域によっては各世帯が井戸を持つほどです。この地下水は水道水源としても利用されています。一方で、地下開発を行う際には、湧水対策が不可欠となります。

産業

肥沃な土地と豊富な水に恵まれた足柄平野は、古くから稲作の中心地でした。現在も稲作が主要な産業ですが、梅などの果樹栽培も行われています。戦後以降は、南部を中心に工業地域が拡大し、写真フィルム、記録メディア、バッテリー、化学製品、食品加工など多様な産業が集積しています。首都圏へのアクセスが良く、良質な水資源も産業発展の大きな要因となっています。

交通

足柄平野は、古くから交通の要衝でした。古代には矢倉沢往還や東海道が通り、現在も国道246号、東名高速道路、小田原厚木道路、西湘バイパスなど主要道路網が整備されています。鉄道では、東海道新幹線、東海道本線、小田急小田原線が走り、小田原駅は県西地域の中心駅として機能しています。これらの道路と鉄道網が、足柄平野の経済活動を支えています。

災害

沖積平野である足柄平野は、古くから水害に見舞われてきました。江戸時代の文献にも洪水の記録が多く残されています。特に宝永4年（1707年）の富士山宝永大噴火では、火山灰による土石流が酒匂川を流れ、甚大な被害をもたらしました。近年は、酒匂川上流に建設された三保ダムにより、水害は減少していますが、大磯丘陵との境界にある国府津―松田断層の存在から、地震への対策が重要な課題となっています。

足柄平野を構成する市町村

足柄平野には、小田原市、南足柄市、松田町、山北町、大井町、開成町の6つの市町村が位置しています。それぞれの地域で、農業、工業、観光など様々な産業が営まれ、多様な文化が育まれています。

まとめ

足柄平野は、豊かな自然と水資源、そして便利な交通網を備えた地域です。歴史的には災害との戦いも繰り返されてきましたが、その経験を活かし、現在も発展を続けています。しかし、地震などの自然災害への備えは、今後も重要な課題であり続けるでしょう。

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