矢内原勝

矢内原勝

矢内原勝（やないはら かつ、1926年3月13日 - 2003年11月27日）は、日本の経済学者で、慶應義塾大学の名誉教授として知られています。開発経済学を専門とし、国際経済の分野で多大な貢献をしました。

生涯

1926年、矢内原勝は、著名な経済学者である矢内原忠雄の三男として東京に生まれました。兄には哲学者の矢内原伊作がいます。東京府立第一中学校を経て慶應義塾大学に進学し、経済学を学びました。大学では山本登に師事し、開発経済学の研究に早くから携わりました。

1950年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、副手として研究生活をスタートさせました。その後、1952年に助手、1957年に助教授、そして1966年には教授へと昇進しました。研究活動の一環として、1954年から1955年にかけてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスへ、1976年から1978年にはパリ第1パンテオン・ソルボンヌ大学へ留学し、国際的な視野を広げました。

1991年に慶應義塾大学を定年退官し、名誉教授となりました。退官後も研究への情熱は衰えず、浜松大学国際経済学部に教授として着任し、後には作新学院大学の学長を務めました。2003年、心不全のため77歳で逝去されました。その功績を偲び、2006年には追悼論文集『アフリカとアジア：開発と貧困削減の展望』が慶應義塾大学出版会から刊行されました。

東京大学に進学する学力があったにもかかわらず、父・忠雄と東京大学との関係が悪化したことが原因で、慶應義塾大学に進学したというエピソードがあります。船田元は、矢内原の下で学びました。また、敬虔な無教会のクリスチャンであり、多くの弟子を育て上げたことでも知られています。国際経済学会、日本アフリカ学会、日本経済政策学会などの要職を歴任し、学会の発展にも貢献しました。

業績

矢内原勝は、開発経済学、特に低開発国の経済開発や国際貿易に関する研究で知られています。その研究は、理論的な分析に加えて、豊富な実証データに基づいたものであり、開発経済学の発展に大きく貢献しました。

著書

矢内原勝は、数多くの著書や論文を発表しています。以下に主な著書を挙げます。

『低開発国の輸出と経済開発』（東洋経済新報社、1965年）
『金融的従属と輸出経済』（日本評論社、1966年）
『近代化の条件 日本の立場・低開発国の立場』（ダイヤモンド社、1970年）
『世界経済 歴史・理論・現状』（文眞堂、1994年）
『国際貿易論』（慶應義塾大学出版会、1994年）
（細見真也）『ココア経済』（日本国際問題研究所、1969年）
（山形辰史）『アジアの国際労働移動』（アジア経済研究所、1992年）
（小田英郎）『アフリカ・ラテンアメリカ関係の史的展開』（平凡社、1989年）
編著『発展途上国問題を考える』（勁草書房、1996年）

関連項目

慶應義塾大学の人物一覧

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