矢部定利

矢部定利の生涯と影響

矢部定利（やべ さだとし）は、因幡国の若桜鬼ヶ城を本拠とする国人の一人であり、延徳元年（1489年）に悲劇的な最期を迎えました。彼は通称「八郎」として知られ、官職には左衛門尉や山城守がありました。息子には宗春がおり、定利の家系は地域で重要な役割を果たしていました。

矢部氏の歴史的背景

矢部氏は南因幡で因幡毛利氏等と並ぶ有力な国人領主でした。南因幡地域における彼らの地位は、幕府に対して奉公する立場から成り立っています。定利も、同じく奉公衆に属し、同じく奉公衆であった毛利次郎との関係を深めていました。この結びつきは、後の政治の流れに大きな影響を与えます。

毛利次郎の乱と定利の立場

文明11年（1479年）の春、毛利次郎が守護の山名氏に対して反乱を企て、「毛利次郎の乱」と呼ばれる事件が発生しました。定利は毛利方に与し、次郎と共に戦いました。この事件は、翌年の春までには鎮圧されましたが、両者は奉公衆であったため厳しい処罰を免れました。彼は、文明13年（1481年）8月27日には伊勢貞宗と面会し、息子と共に「宗」の字を受けて「宗定」と名乗るようになったのです。

犬追物への参加

その後、文明15年（1483年）以降、定利と毛利次郎は犬追物と呼ばれる催しに参加しています。これは、地域の武士たちの間で行われる伝統的な競技であり、武士の名声を高める重要な場でもありました。定利は、この活動を通じて地域社会との関係を強化していったと考えられます。

再び襲いかかる乱

長享元年（1487年）12月30日、毛利次郎が赦免されると、再度反乱を起こしました。定利も媒介として次郎と共にその側に立ち戦ったようですが、延徳元年（1489年）9月5日の徳丸河原合戦での敗北によって状況は一変します。次郎が自刃し、山名政実を利用して逃げようとするも、最終的には山名豊時の軍勢に攻撃され、彼は政実やその一族と共に自刃に至ったのです。

矢部定利の遺産

矢部定利の人生は、因幡国の歴史の一端を構成しており、戦国時代の混乱と彼自身の忠誠心の象徴といえます。彼は、特に毛利氏との関わりにおいて、地域の歴史に名を刻んでおり、現在でも彼の影響は様々な史書や文献に残されています。 彼の家系が残した豆知識やエピソードは、今も地域の文化に息づいております。

参考文献

• - 高橋正弘『因伯の戦国城郭　通史編』
• - 角田誠・谷本進編『因幡若桜鬼ヶ城』（城郭談話会、2000年）
• - 財団法人国府町教育文化事業団『山崎城史料調査報告書』

もう一度検索