知手駅

知手駅

知手駅（しってえき）は、かつて茨城県神栖市東和田に位置していた、鹿島臨海鉄道鹿島臨港線の貨物専用駅です。この駅は、地域産業の物流拠点としての役割を担っていましたが、時代の変化と共にその機能を終え、2018年に廃止されました。

歴史

知手駅は、1970年（昭和45年）7月21日に開業しました。開業と同時に、周辺に立地する企業の物流を支えるべく、旭電化工業（現在のADEKA）への専用線が敷設されました。その後も、1971年（昭和46年）7月20日にはクラレ、1975年（昭和50年）1月には旭硝子（現在のAGC）への専用線が次々と開設され、貨物駅としての機能が強化されていきました。

これらの専用線を通じて、周辺工場で生産される製品の出荷や、製造に必要な原材料の受け入れが行われ、鹿島臨港線の貨物輸送網における重要な結節点の一つとなりました。しかし、物流形態の変化などにより、徐々に専用線の利用は減少していきます。そして、2010年（平成22年）の1月から2月頃にかけて、駅構内の側線が撤去されるなど、貨物取扱規模の縮小が進みました。

最終的に、貨物取扱量の減少や専用線の廃止に伴い、駅としての役割を終えることとなり、2018年（平成30年）3月17日をもって正式に廃止され、その歴史に幕を閉じました。

駅概要

知手駅は地上に設置された駅でした。臨時の車扱貨物を取り扱う駅として位置づけられており、定期的な貨物取扱は少なかったものの、神栖駅と奥野谷浜駅の間を運行する貨物列車が、運転上の都合により停車する場所として利用されていました。

かつては、駅の周囲に事業所を構える複数の大手企業への専用線が当駅から分岐していました。具体的には、旭硝子（現在のAGC）をはじめ、鹿島ケミカル、旭電化工業（現在のADEKA）、クラレ、そして鐘淵化学工業（現在のカネカ）といった企業の工場へ向かう専用鉄道が伸びていました。これらの専用線は、それぞれの工場で製造される化学品やガラス製品などの輸送に活用されていましたが、廃止時点では全てが廃線となっていました。特に旭硝子（現・AGC）への専用線は最後まで使用が続けられ、主に液化塩素の発送が行われていたことが知られています。

なお、鹿島臨港線では過去に旅客営業も行われていましたが、鹿島港南駅が列車運行上の閉塞区間の境界となっていなかった時期には、車庫のある神栖駅から当駅まで旅客車両が回送され、ここで折り返して運行されていたことがありました。

駅周辺

知手駅が位置していた周辺には、現在も複数の主要な事業所が立地しています。駅の機能は失われましたが、地域における産業の集積地としての性格は維持されています。

周辺には、以下の企業などの施設があります。

ADEKA鹿島食品工場／鹿島化学品工場（東地区）
関東珪曹硝子鹿島工場
鹿島ケミカル
鹿島南共同発電所
カネカ鹿島工場
AGC鹿島工場

隣の駅

鹿島臨海鉄道

鹿島臨港線
神栖駅 - 知手駅 - 奥野谷浜駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
* 廃駅

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