石丸由佳

日本を代表するオルガン奏者の一人、石丸 由佳（いしまる ゆか）は、12月7日生まれ。

東京藝術大学器楽科オルガン専攻を卒業後、同大学院修士課程を修了。在学中には安宅賞、アカンサス音楽賞、同声会賞など、数々の学内賞を受賞し、その卓越した才能を早くから認められました。

さらなる研鑽を積むため、デンマーク王立音楽院およびドイツ国立シュトゥットガルト音楽大学に留学し、ソリストディプロマを取得。オルガン演奏を廣野嗣雄、廣江理枝、ハンス・ファギウス、ルドガー・ローマンの各氏に、チェンバロを大塚直哉、鈴木雅明の両氏に師事し、その音楽的基盤を築きました。

2010年には、オルガン界で最も権威あるコンクールの一つであるシャルトル国際オルガンコンクールにおいて優勝を果たし、同時にJ.アラン賞も受賞。これにより、国際的な舞台でのキャリアを本格的にスタートさせました。

コンクール優勝後は、ヨーロッパ各地の主要な音楽祭から招聘され、フランスのシャルトル大聖堂やパリのノートルダム大聖堂、マドレーヌ寺院など、歴史ある教会やホールで多数のリサイタルを開催。10カ国以上に渡る広範な活動を展開し、国際的な評価を確固たるものとしました。

日本国内でも活発な演奏活動を行っており、日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、シエナウインドオーケストラといった著名なオーケストラと共演を重ねています。レナード・スラットキン、ヨハネス・クルンプといった海外の著名指揮者だけでなく、小林研一郎、井上道義、チョン・ミョンフンといった日本を代表する指揮者からも厚い信頼を得ています。

ソロでのコンサートに加え、メディアへの出演も多く、地元新潟のTeNYテレビ新潟やNHKラジオに出演するなど、幅広い層にその存在を知られています。また、Kバレエカンパニーのバレエジェンツ、歌手の今井麻美や平原綾香のライブにゲストやサポートメンバーとして参加するなど、他分野のアーティストとの積極的なコラボレーションも行っています。NHK紅白歌合戦では人気グループ嵐のサポートを務めるなど、クラシック音楽の枠を超えた活動を展開。テレビ朝日「題名のない音楽会」やNHK「うたコン」といった人気音楽番組にも登場するなど、様々なメディアを通じてパイプオルガンの魅力を広めるための活動に力を注いでいます。

石丸由佳は、2020年4月より新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」の4代目専属オルガニストを、そして2024年4月からは所沢市民文化センター「ミューズ」の5代目ホールオルガニストを務めています。また、自身の「ココペリオルガンスタジオ」を主宰し、後進の指導やパイプオルガンの普及啓発にも尽力しています。

彼女の演奏は、その情熱的で豊かな音楽表現、そして高度な演奏技術に加え、楽器の特性を最大限に引き出す緻密なレジストレーション（音色選択）が高く評価されています。

これまでに複数のCDアルバムをリリースしており、オルガヌム・クラシックス（国内盤はキングインターナショナル）、キングレコードから発売されています。これらのアルバムは専門誌『レコード芸術』で準特選盤に選ばれるなど、批評家からも高い評価を得ています。

主なCDアルバムは以下の通りです。

『オルガン・リサイタル～バッハ、リスト、メンデルスゾーン、ブラームス、ラインベルガー』（2015年）
『オルガン・オデッセイ』（2019年）
『死の舞踏～悪魔のパイプオルガン』（2022年）
『パイプオルガンのクリスマス』（2023年）
* 『瑠璃色の地球 ～風のうた パイプオルガンで聴く想い出のポップス』（2024年）

国際的なキャリアと国内での広範な活動を通じて、パイプオルガンの新たな可能性を追求し続ける石丸由佳は、今後の活躍がますます期待される奏者です。

もう一度検索