石川光明

石川光明（1852年 - 1913年）は、明治時代に活躍した彫刻家です。幼名は勝太郎といい、浅草で宮彫師の家に生まれました。彼の作品は、浮き彫りを多用した技巧的な作風で知られています。

光明は幼少の頃から彫刻の道へ進みます。祖父は浅草寺雷門を手掛けたことで知られていましたが、光明は3歳で父、9歳で祖父を亡くし、叔父の元で宮彫の技術を学びました。その後、絵画を狩野寿信に、牙彫を根付師・菊川正光に師事し、技術を磨きました。

1878年には旭玉山と共に彫刻の研究会を始め、これが後の東京彫工会へと発展します。1881年の内国勧業博覧会では、「牙彫魚籃観音像」と「嵌入の衝立」で妙技二等賞を受賞し、その才能を高く評価されました。翌年には高村光雲と出会い、互いに良き理解者として親交を深め、日本の近代彫刻の発展に尽力しました。

1890年、光明は帝室技芸員に任命され、東京美術学校の教授、文部省の美術展覧会審査員などを歴任しました。また、数々の博覧会に出品し、高い評価を得ています。1893年のシカゴ万国博覧会では「浮彫観音菩薩像」で優等賞、1895年の内国勧業博覧会では「木彫軍鶏」で妙技二等賞、1900年のパリ万国博覧会では「古代鷹狩置物」で金賞を受賞しました。1907年の東京勧業博覧会と1910年の日英博覧会では「額面群羊図」で一等賞と名誉金賞を受賞しています。

特に、パリ万国博覧会に出品された「古代鷹狩置物」は、光明の代表作として知られ、旭玉山の「官女置物」と並び、明治牙彫の傑作と評されています。榛原直次郎が所蔵していた「相撲」という作品も光明の傑作として知られています。

主な作品

軍鶏置物：桜材、木彫。三の丸尚蔵館蔵
古代鷹狩置物：牙彫。三の丸尚蔵館蔵。1900年パリ万国博覧会出品
野猪：東京国立博物館蔵
相撲：木彫。1908年制作、1910年日英博覧会に出品

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