石星

石星（せき せい）

石星（生年不詳 - 1599年）は、明代に活躍した文官です。字は拱辰、号は東泉と称し、北直隷東明県（現在の山東省東明県）の出身です。

生涯

1565年（嘉靖44年）の科挙に合格し進士となります。1567年（隆慶元年）には、隆慶帝に対し内政の乱れを指摘しますが、これが帝の怒りを買い、職を辞して故郷へ帰ることになります。この時、石星が亡くなったという誤った情報が伝わったため、妻の鄭氏は自殺するという悲劇も起こりました。

万暦帝の時代になると再び起用され、1573年（万暦元年）に尚賓卿大理丞南京太僕卿から僉都御史右副都御史を経て兵部左侍郎に任じられます。その後も順調に昇進し、1587年（万暦15年）2月には工部尚書、更に太子少保を加贈され、1590年（万暦18年）3月には戸部尚書、1591年（万暦19年）には兵部尚書を歴任しました。

1592年（万暦20年）に哱拝の乱が発生すると、総督に魏学会らを起用して鎮圧に当たりました。同年に勃発した文禄の役では、8月に縁故の沈惟敬を派遣して和平交渉による時間稼ぎを行う一方、年末には宋応昌・李如松の指揮による大軍を朝鮮へ派遣し、平壌を奪還します。しかし、碧蹄館の戦いで明軍が大敗を喫すると、石星は消極的な姿勢に転じ、和平へと傾斜していきます。

その後、日本に対し封貢を認めるか否かが明朝廷内で長く議論されることになりますが、石星が主導する和平路線が採用され、貢は許可しないものの、豊臣秀吉を日本国王に封じるための使者が日本へ派遣されることになりました。しかし、これは日本の思惑とは異なる対応であったため、和平は実現せず、1597年（万暦25年）には慶長の役が勃発します。同年9月、石星は交渉失敗の責任を問われ罷免され、投獄されます。そして、1599年（万暦27年）9月に獄中で亡くなりました。

石星は、朝鮮の氏族である海州石氏の始祖としても知られています。

参考文献

李炯錫『壬辰戦乱史（文禄･慶長の役） 下巻』1977年、東洋図書出版
「石星」項、『縮版東洋歴史大辞典上巻』昭和12年平凡社初版、平成四年臨川書店縮版

もう一度検索