石本寅三

石本寅三は、1890年（明治23年）11月5日に兵庫県で生まれ、1941年（昭和16年）3月13日に50歳で亡くなった、日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍中将でした。父は陸軍中将の石本新六であり、軍人の家系に生まれました。

生い立ちと初期の軍歴

石本は、陸軍中央幼年学校予科、同校本科を経て、1911年5月に陸軍士官学校（23期）を卒業しました。同年12月には騎兵少尉に任官し、騎兵第14連隊に配属されました。その後、陸軍[[騎兵学校]]に勤務するなど、騎兵科の軍人としてキャリアをスタートさせます。1922年11月には、陸軍大学校（34期）を首席で卒業し、その優秀さを示しました。

軍の中枢での活躍

陸軍大学校卒業後、石本は騎兵第14連隊中隊長を務めた後、陸軍省軍務局付として勤務しました。その後、ドイツ駐在やドイツ大使館付武官補佐官を経験し、国際的な視野を広げました。帰国後は、参謀本部付、陸軍兵器本廠付、参謀本部員兼陸軍大学校教官、兼軍令部参謀など、陸軍の中枢で様々な要職を歴任しました。1933年4月には騎兵集団参謀となり、関東軍参謀、陸軍兵器本廠付（陸軍省調査班長）などを経て、二・二六事件の軍法会議判士を務めることとなりました。

将官への昇進と晩年

1936年8月、石本は軍務課長に就任し、その後、騎兵第25連隊長、駐蒙兵団参謀長を歴任しました。1938年3月には陸軍少将に進級し、駐蒙軍参謀長、兵器本廠付、農林省馬政局次長、兵務局長などを務めました。1940年12月には陸軍中将となり、第55師団長に親補されましたが、1941年3月に在任中に死去しました。

親族

石本家は軍人、学者、実業家など、多方面で活躍する人物を輩出しました。兄には実業家の石本恵吉、南満州鉄道理事の石本憲治がおり、弟には東京帝国大学教授・理学博士の石本巳四雄、陸軍少将の石本五雄がいます。また、妻の父は国文学者の芳賀矢一であり、義兄弟には法学博士の瀧川政次郎がいます。さらに、従兄弟には陸軍少将の安達十六、陸軍中将の安達十九、安達二十三がいます。

まとめ

石本寅三は、陸軍騎兵科のエリートとして、そのキャリアを積み重ねました。陸軍大学校を首席で卒業したことからもわかるように、その能力は非常に高く評価されていました。軍の中枢で要職を歴任し、日本の軍事政策に深く関与しました。二・二六事件の軍法会議判士を務めたことは、彼のキャリアの中でも特筆すべき出来事と言えるでしょう。しかし、1941年、50歳という若さでこの世を去りました。彼の死は、当時の日本にとって大きな損失だったと言えるでしょう。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
* 外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

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