石津太神社

石津太神社について

石津太神社（いわつたじんじゃ）は、大阪府堺市西区に位置する神社で、旧社格は村社です。同じく堺市内にある石津神社（いしづじんじゃ）と共に、式内小社「和泉国大鳥郡 石津太神社」の論社として知られ、どちらも「日本最古の戎社」を自称しています。この神社は、地域の歴史と文化を今に伝える重要な存在です。

祭神

主祭神は、蛭子命（ひるこのみこと）、八重事代主命（やえことしろぬしのみこと）、天穂日命（あめのほひのみこと）（石津連の祖神）です。また、天照大神（あまてらすおおみかみ）（靱大神宮）も配祀されており、神社合祀によって建御名方富命（たけみなかたとみのみこと）も祀られています。これらの神々は、地域の人々から厚く信仰されています。

歴史

この地は元々浜辺で、伝承によれば、伊奘諾命（いざなぎのみこと）と伊奘册命（いざなみのみこと）によって流された蛭子命がこの地に漂着し、五色の神石を置いたとされています。蛭子命が漂着した場所は「石津の磐山」、五色の石を置いた場所は「石津」と呼ばれるようになりました。鳥居前の交差点には、その「五色の石」が埋められているとされ、地上部分には石が置かれています。

孝昭天皇7年8月10日には、勅命により蛭子命を祀る社殿が造営され、八重事代主命と天穂日命が合祀されました。平安時代以降、朝廷からの崇敬も厚く、度々天皇の行幸の記録も残っています。かつては広大な社領を有していましたが、元和年間以降、数度の兵火によって社殿を焼失しました。豊臣秀吉が大阪城を築城した際には、裏鬼門の鎮守神として崇敬し、木村重成は社殿復興のために黄金を寄進したと伝えられています。明和5年には、神札頒布を巡って西宮神社（西宮戎）との間で争いがありましたが、和解に至りました。全国に崇敬者がおり、明和6年には江戸の湯島天神や坐摩神社で出開帳が行われました。

石津川北岸の大阪湾手前には、葦舟に乗った蛭子命（戎大神）が漂着したとされる場所があり、現在は御旅所として祀られています。明治5年（1872年）には村社に列格し、明治41年には浜寺村大字船尾の諏訪神社を合祀しました。鳥居の前には、紀州街道が南北に走っています。

社殿

江戸時代前期に造営された本殿は二殿あり、蛭子命、八重事代主命、天穂日命を祀る北殿は一間社流造、建御名方富命と天照大神を祀る南殿は一間社春日造です。宝暦年間に造営された両殿に共有する割拝殿は入母屋造となっています。境内には、磐山稲荷社、八幡神社、白蛇社などの末社があります。

また、境内には蛭子命が腰を掛けたと言われる大石が存在します。蛭子命が漂着したと伝承される御旅所は、石津川北岸の元海岸の地にあります。鳥居の扁額は、三条実美が参拝時に書いたものとされています。

祭事

毎年12月14日には、「泉州の奇祭」として知られる「ヤッサイホッサイ祭り」が開催されます。この祭りは、古く蛭子命が漂着した際に、付近の住民が篝火を焚いて迎えたという古儀に由来しています。

祭では、願い事を書いた紙を貼った108束のご神木が参道に積み上げられ、神職が点火します。ご神木が燃え倒れた方角によって吉凶を占います。東に倒れる場合は「おかましや」といい豊穣を、西に倒れる場合は「はまましや」といい豊漁を象徴すると言われています。その後、戎神に扮した神人を3人の男衆が担ぎ、火渡りを3度繰り返して社地を3周する際に、「やっさいほっさい」と掛け声を上げます。戎神の火渡りが終わると、参拝者も火渡りを行うことができます。もみ消した灰や燃え殻は、歯痛などの痛み止めや厄除けになると信じられています。

なお、類似した名称の祭りとして、千葉県木更津市で行われる「やっさいもっさい」がありますが、こちらは火渡り行事ではなく踊りであるため、関連性はありません。

関連事項

ふとん太鼓
泉大津市教育支援センター（旧「泉大津市立戎小学校」） - 当社から事代主命を「戎大明神」として勧請した場所で、後に小学校が建設されました。小学校は現在、他校と合併・移転しましたが、「戎」は周囲の地名として残っています。

外部リンク

石津太神社（堺観光ガイド）

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