石濱純太郎

石濱純太郎の生涯と業績

生い立ちと教育

石濱純太郎（いしはま じゅんたろう）は1888年11月10日、大阪府に生まれました。彼は製薬業を営む石濵豊蔵の長男として育ち、住吉区で幼少期を過ごしました。10歳で漢学塾泊園書院（後の関西大学）に入学し、藤沢南岳に学び始めます。その後、大阪府立市岡中学校に進学し、著名な画家や作曲家と同級生となりました。

1908年、彼は東京へ移り、東京帝国大学文科大学支那文学科に入学しました。3年間の学びを経て、1911年に卒業論文『欧陽脩攻究』を提出し、大学を卒業しました。

大学卒業後の活動

大学卒業後、石濱は大阪に戻り、1915年には漢詩文愛好者の結社「景会」に入会しました。この結社を通じて、彼は長尾雨山や武内義雄などの著名な人物と知り合い、文学や詩に対する理解を深めました。1921年には大阪外国語学校が開校し、モンゴル語を学ぶためにその選科に入ることとなりました。

1923年には「大阪東洋学会」を創設し、京都帝国大学の内藤湖南に師事します。1927年には静安学社を改名し、幹事として若手研究者たちと共に古代の西夏語の研究に取り組みました。1942年には大阪言語学会を設立し、彼の学問的活動は次第に幅広い分野に広がっていきます。

戦後の活動と学問的業績

戦後、石濱は龍谷大学で講師を務め、1949年には関西大学にて助教授、教授としての道を歩みました。1957年には『支那学論攷』を関西大学に提出し、文学博士号を取得しました。1959年に定年退職し名誉教授となった彼は、日本西蔵学会の会長を務めるなど、学外でも多くの活動をしました。

研究分野と業績

石濱は従来の漢学の枠にとどまることなく、東洋学に新たな道を切り開きました。彼は女真語や契丹語といった古い東洋の言語に興味を持ち、西域から出土した仏典や古文献にも研究を重ねました。また、彼の蔵書は大阪大学図書館の「石濱文庫」として、4万冊を超える東洋学関係の資料が所蔵されています。

交遊と家族

石濱は東洋史だけでなく、文学や芸術の分野でも幅広く交友関係を形成しました。特に作家の織田作之助とは長年にわたり親しい関係を築いていました。彼の家族も著名で、息子の石濵恒夫は作家・作詞家として活動し、甥の藤沢桓夫は小説家として知られています。また、孫の石濵紅子はエッセイストとして活躍し、大阪市立海洋博物館の初代館長も務めました。

受賞歴と著作

長年の研究と業績が認められ、1954年にはなにわ賞を授与されています。彼の著作には、『敦煌石室の遺書』や『欧米に於ける支那研究に就て』などがあり、東洋学の重要な文献として評価されています。さらに、晩年には記念国際シンポジウムが行われ、彼に関する研究が続けられています。

まとめ

石濱純太郎は、日本の東洋史研究において重要な役割を果たした学者であり、彼の業績は現代にも大きな影響を与えています。彼の研究を通じて、私たちは東洋文化の理解を深めることができるでしょう。

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