石狩湾

石狩湾

石狩湾は、北海道中西部に位置する、小樽市や石狩市などが面する日本海の湾です。積丹岬から雄冬岬にかけて、南東方向に湾入している部分を指します。

地形と港

湾の両端は山地が海岸に迫り、海食崖を形成しています。海岸線は比較的入り組んでおり、小樽港をはじめとする中小の漁港が多く存在します。一方、湾奥は石狩平野から続く遠浅の海が広がっています。かつては大型船舶が接岸できる場所がありませんでしたが、1982年に石狩市と小樽市の境界に掘り込み式の石狩湾新港が建設され、札幌圏と各地を結ぶ海上物流拠点として重要な役割を果たしています。また、湾奥部の海岸には砂浜が広がり、海水浴場も多く見られます。

生物

かつてはアイヌ語で「クジラがいる場所」を意味する「フムベ・オマイ」に由来する地名や、鯨塚が残るなど、多くのクジラやイルカ、ニホンアシカなどの鰭脚類、ウバザメなどの大型海棲動物が生息していたと考えられています。特に、北西北海道では、コククジラやセミクジラが多数来遊し、その姿は風物詩の一つでした。また、現在では日本に通常生息していないホッキョククジラの化石も出土しています。

また、かつては石狩川を遡上していた2種類のチョウザメも稀に見られることがあります。近年ではジンベイザメの出現も確認されています。

湾内にはサケ、カレイ、イカ、ホッケ、シャコ、エビ、ソイなど多様な魚介類が生息しており、これらの漁業が盛んに行われています。

石狩湾小低気圧

冬型の気圧配置が緩む1月から2月にかけて、石狩湾周辺では局地的な大雪に見舞われることがあります。これは石狩湾に周囲よりわずかに気圧の低い部分が発生し、小さな雲の渦を作る現象によるもので、「石狩湾小低気圧」と呼ばれています。道北や道央の内陸部で強い放射冷却によって局地的に高気圧が発生し、相対的に低圧となった日本海側へ風が収束することで低気圧が発生します。この低気圧は突発的に現れ、短時間で消滅するため予測が難しく、時には1日に1メートル近い降雪をもたらし、石狩市や札幌市などの都市交通を麻痺させることもあります。

蜃気楼

石狩湾では蜃気楼も観測されており、江戸時代から報告がある「高島おばけ」という通称で知られています。

湾に面する自治体

石狩湾に面する自治体は以下の通りです。

後志総合振興局管内: 積丹町、古平町、余市町、小樽市
石狩振興局管内: 石狩市

まとめ

石狩湾は、豊かな自然と独特の気象現象が共存する場所です。かつての豊富な生物相から、現代の漁業、そして独特の気象現象まで、多面的な魅力を持つ地域と言えるでしょう。

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