砂川町

砂川町：玉川上水の恵みと激動の時代を刻んだ町

東京都北多摩郡に位置していた砂川町は、豊かな水資源と交通の便に恵まれた地域でした。古くから新田開発が盛んに行われ、玉川上水、砂川分水といった水路が町の発展を支え、五日市街道や芋窪街道といった道路網も整備されていました。西武鉄道上水線の開通も、町の交通事情を大きく変えました。

地理的特徴

砂川町は、残堀川、玉川上水、砂川分水といった水路によって潤され、豊かな自然環境に恵まれていました。現在では、この地域は若葉町、幸町、柏町、砂川町、上砂町、一番町、西砂町、栄町、泉町、高松町の一部として立川市に編入されています。また、武蔵村山市や福生市の一部地域も、歴史的に砂川町と密接な関係を持っていました。

歴史：新田開発から町制施行、そして立川市への編入へ

砂川町の歴史は、新田開発に始まります。17世紀初頭、村山郷岸（現在の武蔵村山市岸）の三右衛門による新田開発の願い出をきっかけに、玉川上水の開通（1654年）や砂川分水の開削（1657年）によって、砂川地域は大きく発展しました。その後、砂川村として成立し、周辺のいくつかの新田を合併しながら発展を続けました。

明治時代には、町村制の施行（1889年）により神奈川県北多摩郡砂川村となります。その後、東京府への編入（1893年）、東京都制施行（1943年）を経て、昭和29年（1954年）に町制を施行し、砂川町となりました。

しかし、砂川町の歴史は順風満帆ではありませんでした。第二次世界大戦中には、立川飛行場周辺への空襲被害を受けました。戦後には、西武鉄道上水線の開通（1950年）や、B29爆撃機墜落事故（1951年）といった出来事が発生しました。

特に、1955年から始まった砂川闘争は、砂川町の歴史において重要な出来事です。在日米軍立川飛行場の拡張計画に反対する住民運動は、社会に大きな衝撃を与え、砂川事件という刑事訴訟にも発展しました。この闘争は、長年にわたる住民の抵抗と、国家権力との対立を象徴する出来事となりました。

最終的に、1963年、砂川町は立川市に編入され、その歴史に幕を閉じました。

歴代首長

砂川町の首長（村長、町長）は、町の発展に大きく貢献しました。特に、砂川闘争の時期には、住民の意見を反映させ、基地拡張計画に反対する姿勢を貫いた首長もいました。歴代首長は、以下の通りです。

村長

橋本治助 (1889年7月～1889年8月)
宮崎五百里 (1889年11月～1896年3月)
小峰庄之助 (1896年3月～1897年5月、1900年5月～1900年6月、1904年2月～1907年12月)
青木直次郎 (1897年7月～1900年4月)
宮崎五百里 (1900年6月～1903年10月)
小沢弥吉 (1903年11月～1904年2月)
島田角太郎 (1908年12月～1931年10月)
中野丑太郎 (1931年10月～1946年11月)
若松貞次郎 (1947年4月～1954年6月)

町長

若松貞次郎 (1954年6月～1955年3月)
宮崎傳左衛門 (1955年5月～1962年12月)
砂川三三 (1963年1月～1963年5月1日)

まとめ

砂川町は、玉川上水の恵みを受けて発展した町であり、同時に、米軍基地拡張問題という大きな課題に直面した町でもありました。その歴史は、日本の高度経済成長期と、それに伴う社会変動を反映したものであり、現代社会を考える上で重要な教訓を与えてくれます。

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