硫黄山 (宮崎県)

硫黄山（いおうやま）

宮崎県えびの市に位置する標高1317mの山で、霧島火山群に属する活火山です。溶岩ドームに分類され、霧島火山の中では最も新しい火山として知られています。韓国岳の北西、えびの高原に位置しており、山体の西側には県道が走っています。

火山活動の歴史

硫黄山では、有史以降に2度のマグマ噴火が確認されています。最初の噴火は1300年から1500年頃とされ、この噴火によって「えびのB1テフラ」と呼ばれる火山灰の層が形成されました。2度目の噴火は1768年に発生し、この噴火で溶岩が噴出して「硫黄山溶岩流」が形成され、降下火砕物によって「えびのB2テフラ」ができました。この2度目の噴火は、火山爆発指数（VEI）2と評価され、現在の硫黄山の山体が形成されたと考えられています。山体は主に珪石を主成分とする火山岩で覆われており、植物の生育は限られています。山頂には直径約100mの浅い火口があり、内部には巨大な溶岩が残っています。

かつては活発な噴気が見られ、明治時代から昭和時代にかけては、噴気を冷却して硫黄を採取する事業が行われていました。火口内には、当時の石積みの遺構が残っています。

近年の火山活動

2013年12月頃から火山性地震が発生するようになり、火山活動が活発化しました。2015年2月には有感地震が発生し、山体の隆起が確認されています。火山性微動の観測などから、小規模な噴火の可能性が指摘され、火口周辺の立ち入りが規制されるようになりました。2015年7月頃からは噴気が再び確認され、火口南側から高さ300mを超える噴気が噴出するなど、火山活動がさらに活発化しています。

2018年4月19日には、硫黄山の南側で約250年ぶりの噴火が発生し、噴煙が300mの高さまで上がりました。この噴火により、気象庁は噴火警戒レベルを3（入山規制）に引き上げました。幸い死傷者は発生しませんでしたが、噴火後も硫黄山周辺では噴気が確認されています。

環境への影響

2018年の噴火に伴い、硫黄山付近を流れる長江川に、硫酸やヒ素などの重金属を含む温泉水が流れ込みました。これにより、川の水が白濁し、川のpH値が大幅に低下しました。硫黄山から約6キロ離れた場所でも、川のpH値が2.1まで低下し、魚類の大量死が確認されました。この影響で、周辺地域の農家では稲作を断念せざるを得なくなり、県や市による支援策が実施されました。

霧島連山のマグマだまりは地下数キロメートルに存在し、硫黄山付近では、マグマだまりの上部、地下数百メートルに「熱水だまり」があると考えられています。この熱水が噴火とともに地上に噴出し、河川を酸性化したり重金属で汚染したりする原因となっています。

現在の状況

2018年9月現在、火口周辺1kmは立ち入り禁止措置となっており、県道も通行止めになっています。

アクセス

硫黄山は、県道から徒歩数分でアクセスできる場所にあり、標高差も少ないため、登山は比較的容易です。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

注釈

（注釈は省略）

出典

（出典は省略）

外部リンク

霧島ジオパーク: ジオサイト - 霧島ジオパーク
霧島山（えびの高原（硫黄山）周辺）の火山観測データ 気象庁
霧島山の臨時及び過去の詳細月別火山概況・火山活動解説資料 気象庁
霧島山（えびの高原（硫黄山）周辺）の最近（２ヶ月間）の日別地震回数表 気象庁

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