磯貝正義

磯貝正義の生涯と業績

磯貝正義（いそがい まさよし、1912年5月25日 - 2008年7月25日）は、日本の歴史学者であり、日本古代史の専門家として著名です。彼は山梨大学名誉教授であり、さらに初代館長として山梨県立考古博物館の設立にも深く関わりました。武田氏研究会の会長や山梨県史編さん委員会の委員長も務め、地域の歴史や文化の保存に尽力しました。

生い立ちと学歴

正義は岐阜県の瑞浪市土岐町で生まれました。家族背景には藩士の家系があり、教育者としての父親の影響を受けて育ちました。岐阜県大垣中学校や第八高等学校を経て、1936年に東京帝国大学文学部国史学科を卒業しました。大学では古代史を学び、坂本太郎教授の指導の下で卒業論文を作成。卒業論文のテーマは、後に1978年に『郡司及び采女制度の研究』として発表されました。

職歴と活動

1938年に当時の文部省に勤務し、戦後は1946年に山梨県へ移住します。そこで山梨師範学校や山梨大学の教授として教壇に立つ傍ら、図書館長や教育学部長などの役職を歴任しました。1978年に定年退職した後は名誉教授となり、山梨県立考古博物館の初代館長を任されました。また、武田氏研究会の会長に就任し、地域の歴史研究や文化財保護に積極的に関わりました。特に大河ドラマ『武田信玄』の監修を行ったことでも知られています。

主な業績

磯貝正義の専門は日本古代史であり、特に甲斐源氏および甲斐武田氏に関する研究が評価されています。著書『甲斐源氏と武田信玄』は、学術的な史料批判に基づいた内容であり、武田氏に関する総合的な研究書として高く評価されています。また、地域社会に向けた『山梨県の歴史』は県の歴史を一般の人々に紹介し、幅広い知識を提供しました。

彼は1960年には山梨県文化財調査委員、1976年からは文化財保護審議会長としても活動し、文化財の保護と史跡の整備にも尽力しました。さらに、彼は靖国神社問題や建国記念日など、社会的な歴史教育の重要性についても発言しており、多くの人々に考える機会を提供しました。

受賞と栄誉

彼の長い学問のキャリアの中で、1984年には叙勲三等授旭日中綬章を受章し、2008年には叙正四位が授与されました。これらの受賞は、彼の貢献が高く評価されている証であると言えるでしょう。

著作一覧

磯貝の著作には以下のようなものがあります：

• - 『武田信玄』（新人物往来社、1970年）
• - 『郡司及び采女制度の研究』（吉川弘文館、1978年）
• - 『甲斐源氏と武田信玄』（岩田書院、2002年）
• - 編著に『山梨県の歴史』（山川出版社、1977年）、『甲近世史の研究』（雄山閣、1974年）などがある。

その他にも多くの地域の歴史研究や自治体史の編纂に携わり、彼の足跡は地域に深く根付いています。磯貝正義は96歳でこの世を去り、その業績は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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