社長外遊記

社長外遊記

1963年4月28日に東宝系で公開された日本映画『社長外遊記』（しゃちょうがいゆうき）は、カラー作品で東宝スコープを採用しています。英語の副題には『3 gentl'S in Hawaii』と付けられていました。劇場公開時には、『五十万人の遺産』が同時上映作品としてスクリーンを飾りました。

シリーズにおける位置づけと新たな展開

本作は、サラリーマン喜劇として人気を博した東宝「社長シリーズ」の記念すべき第18作にあたります。この作品から、シリーズの中心的な監督として後に多くの作品を手がけることになる松林宗恵がメガホンを取り、森繁久彌が主演を務める最終作『続・社長学ABC』まで、その手腕を発揮することになります。

海を越えたロケーション

『社長外遊記』は、前作から間を置いて実現した海外ロケが大きな特色です。これは、杉江敏男監督による『社長洋行記』正続編以来のことでした。本作とその続編にあたる『続・社長外遊記』の撮影は、当時まだ「夢の島」と呼ばれ、多くの日本人にとって憧れの地であったハワイで長期にわたり行われました。この時期の東宝はハワイでの映画製作が盛んで、本作と並行して、『ハワイの若大将』（福田純監督）や、『ホノルル・東京・香港』（千葉泰樹監督）といった作品群も、同じ場所で撮影が進行していました。

特徴的な家族構成

本作および次作の『続・社長外遊記』では、主人公である社長一家に5人の娘がいるという、シリーズを通して最も人数の多い家族設定が採用されている点も注目されます。

物語を彩る人々

主人公は、大手百貨店「丸急デパート」の社長、風間圭之助。彼を演じるのは、シリーズの顔である森繁久彌です。社長の妻、幸子を久慈あさみが演じ、シリーズ最多となる5人の娘たちを中真千子、桜井浩子、岡田可愛、相原ふさ子、上原ゆかりがそれぞれ演じました。また、会社の重要なキャラクターとして、加東大介演じる常務の大島源太郎、小林桂樹演じる秘書課長の中村宏、三木のり平演じる第一営業部長の珍田文治郎といったお馴染みの面々が登場し、ハワイでの騒動に巻き込まれていきます。ハワイ側の主要キャストとしては、日系三世の雑貨店店長ジョージ沖津をフランキー堺が、その店員キャサリン岡田をハヌナ節子が演じています。その他、藤山陽子、草笛光子、新珠三千代といった女優陣が物語に華を添えています。

主な出演者は以下の通りです。

風間圭之助（「丸急デパート」社長）：森繁久彌
風間幸子（圭之助の妻）：久慈あさみ
風間めぐみ（風間家長女）：中真千子
風間ひろみ（同次女）：桜井浩子
風間はるみ（同三女）：岡田可愛
風間末子（同四女）：相原ふさ子
風間留子（同五女）：上原ゆかり
大島源太郎（「丸急デパート」常務）：加東大介
中村宏（同秘書課長）：小林桂樹
中村みね（宏の母）：英百合子
珍田文治郎（「丸急デパート」第一営業部長）：三木のり平
ジョージ沖津（ハワイの雑貨店店長）：フランキー堺
会田春江（「丸急デパート」社内放送係）：藤山陽子
会田君子（春江の母）：一の宮あつ子
麻耶子（バーのマダム）：草笛光子
紀代子（「さくら亭」のマダム）：新珠三千代
キャサリン岡田（ジョージの店の店員）：ハヌナ節子
水谷（「福助屋デパート」社長）：河津清三郎
瓜生登代子
宮田洋容
武智豊子
若林映子
関田裕

製作陣

この作品を支えた主なスタッフは以下の通りです。

製作：藤本真澄、角田健一郎
脚本：笠原良三
監督：松林宗恵
撮影：鈴木斌
編集：岩下広一
照明：石井長四郎
美術：村木忍
録音：斉藤昭
音楽：神津善行
助監督：錦織正信
スチール：吉崎松雄
* 協力：パン・アメリカン航空

同時上映作品

本作と同時に公開された『五十万人の遺産』は、菊島隆三が脚本を手がけ、三船敏郎が監督と主演を務めた、宝塚映画と三船プロダクションの共同製作作品でした。

なお、作中に登場する「丸急デパート」は、阪急百貨店をモデルにしていると一般的に言われています。

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