祁連山脈

祁連山脈：天を意味する名を持つ山脈

祁連山脈（きれんさんみゃく、Qilian Mountains）は、中国北西部に位置する重要な山脈です。青蔵高原（チベット高原）の北端に位置し、甘粛省と青海省の境界を跨いでいます。西はアルチン[[山脈]]に接し、東は蘭州市付近まで連なり、南は広大なチャイダム盆地と青海湖に接しています。山脈は西北から東南へ約2000kmにわたり、幅は200～500kmと広大です。複数の山脈が平行して連なり、平均海抜は4000mを超え、その険しさを物語っています。山地の中には平原や河谷も存在し、それらが山地面積の3分の1以上を占めているのが特徴です。

名前の由来と歴史

「祁連」という名前は、古代匈奴の言葉で「天」を意味することに由来します。かつては南山とも呼ばれていました。唐代の詩人である李白の詩「關山月」に登場する「天山」は、この祁連山脈を指しているとされています。古くからこの山脈が天と結びつけて考えられていたことが伺えます。

祁連山脈の生態系

祁連山脈は、その特有の生態系から世界自然保護基金（WWF）によって「祁連山脈の針葉樹林」として登録されています。この地域は生物多様性に富んでおり、独自の生態系が形成されています。

山脈に含まれる山々

広義の祁連山脈は、甘粛省西部と青海省東北部の境界に位置する山々の総称です。この地域全体が、祁連山脈の一部として認識されています。

気候と氷河

祁連山脈には、標高6500m級の高峰が連なり、一部には氷河も発達しています。これらの氷河は、山脈の麓に広がる「河西回廊」のオアシス都市群を潤す水源となっています。具体的には、武威（涼州）、張掖（甘州）、酒泉（粛州）、敦煌（瓜州）といった都市を支える内陸河川の水源となっています。特に黒河などの主要な河川は、祁連山脈に源を発しています。

しかし、近年、地球温暖化の影響により、祁連山脈の氷河は融解が進み、後退傾向にあります。1956年から1990年までの氷河後退ペースと比較して、1990年から2001年までの後退ペースは約50％も速くなっています。ある氷河の終端部近くから流れ出る水量は、60年前と比較して約2倍になっているという報告もあります。この氷河融解は、地域の水資源に深刻な影響を与えており、今後の対策が急がれます。

祁連山脈は、その壮大な景観と、水資源としての重要な役割から、今後も注目される地域です。

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