祇園囃子 (1953年の映画)

映画『祇園囃子』の詳細解説

1953年に公開された溝口健二監督による映画『祇園囃子』は、川口松太郎の同名小説を原作としています。この作品は、京都の祇園を舞台に、芸妓である美代春と、彼女の元で舞妓として成長していく栄子の物語を中心に展開されます。

あらすじ

物語は、上七軒で芸妓をしていた母親を亡くした少女、栄子が美代春の元を訪れるところから始まります。栄子は舞妓になることを志願しますが、彼女の父親は昔からの美代春の馴染み客でありながら、商売の失敗で経済的に困窮していました。最初は栄子の保証人になることを渋っていた美代春ですが、栄子の熱意に心を動かされ、彼女を弟子として受け入れる決心をします。

一年間の厳しい修行を経て、栄子は「美代栄」として見事にお披露目を果たします。その美しさから、車両会社の専務である楠田に見初められます。一方、美代春も楠田の取引先である役所の課長、神崎から好意を寄せられるようになります。

美代春と美代栄を連れて上京した楠田は、密かに神崎も呼び寄せていました。宿泊先で神崎の相手をするように頼まれた美代春は困惑しますが、それでも神崎と対面します。しかし、その夜、美代栄は強引に迫る楠田を拒んだ際に大怪我を負わせてしまいます。この事件がきっかけで、美代春と美代栄は置屋への出入りを禁じられ、侘びしい日々を送ることになります。

そんな中、お茶屋の女将であるお君から神崎の座敷に来るようにとの連絡が届きます。それは、美代栄の事件を許すという条件付きでした。美代春は迷いながらもその誘いに応じる決心をします。しかし、一夜明けて屋形に戻った美代春を、美代栄は激しくなじります。世代や考え方の違いから衝突した二人の心でしたが、最終的にはより強い絆で結ばれていくことになります。

キャスト

美代春：木暮実千代
栄子（美代栄）：若尾文子
沢本（栄子の父）：進藤英太郎
楠田：河津清三郎
佐伯：菅井一郎
小川：田中春男
神崎：小柴幹治
お君：浪花千栄子
助次郎：志賀迺家弁慶
幸吉：石原須磨男
今西：伊達三郎
女紅場の教師：毛利菊枝
八重：大美輝子
菊春：橘公子
舞妓：三田登喜子

スタッフ

監督：溝口健二
脚本：依田義賢
原作：川口松太郎
音楽：斎藤一郎
撮影：宮川一夫
録音：大谷巌
美術：小池一美
照明：岡本健一
助監督：弘津三男

受賞

1953年 (第4回)ブルーリボン賞
助演男優賞（進藤英太郎）
助演女優賞（浪花千栄子）
1953年 (第27回)キネマ旬報ベストテン第9位

テレビドラマ

この映画を原作としたテレビドラマが、1963年に日本テレビ系列で放送されました。高千穂ひづる、北條きく子などが出演しています。

作品のテーマと特徴

『祇園囃子』は、祇園という特殊な世界で生きる女性たちの心情を細やかに描き出しています。芸妓と舞妓という立場の違い、世代間の価値観の相違、そして男性社会における女性の生きづらさなど、様々なテーマが複雑に絡み合い、観る者に深い感動を与えます。

溝口健二監督の卓越した演出と、木暮実千代、若尾文子をはじめとするキャストたちの熱演が、この作品を不朽の名作としています。また、祇園の美しい風景や伝統的な文化も、この作品の魅力を高める要素となっています。

参考文献

KINE NOTE
国立映画アーカイブ

外部リンク

allcinema
KINE NOTE
allmovie(英語)
[[IMDb]](https://www.imdb.com/title/tt0045798/)
角川映画
国立映画アーカイブ

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