祗林寺

祗林寺の概要

祗林寺（しりんじ、韓国語：기림사）は、韓国の慶尚北道慶州市に位置する著名な仏教寺院である。この寺院は、大韓仏教曹渓宗の第18教区本寺である仏国寺の末寺にあたり、韓国仏教界の中心的な存在感を示している。日本統治時代には朝鮮三十一本山の一つとして位置づけられていた。

歴史

祗林寺の創建については、天竺人の光有が林井寺として創設したとされるが、具体的な創建年は不明である。645年、華厳宗の僧侶である元暁により、林井寺から祗林寺へと名称が変更され、再建の運びとなった。この寺院の歴史は、古代新羅時代にまでさかのぼる。

新羅神文王の時代、王は東海で父親の文武王から贈られた萬波息笛を持って帰る途中、祗林寺の近くの小川に立ち寄り、休息を取ったという逸話が『三国遺事』に記されている。このような歴史的背景を持つ祗林寺は、文武王の陵墓の近隣に位置しているため、古代の王たちとも深く結びついている。

李氏朝鮮時代の仏教弾圧において、1407年の太宗による弾圧時には存続が許されず廃寺となったが、1424年の世宗による弾圧では36寺院の一つとして再び存在を認められることになった。これにより、祗林寺は現存する禅宗の一部として名を留めることとなった。

1592年から1598年にかけての日明戦争の際、祗林寺は戦略的な拠点として重要な役割を果たし、僧兵や義兵たちにとって重要な集結地となっていた。当然、この時期の焼失の記録は残っていない。

1863年の火災では、多くの建物が焼失してしまったが、1629年に建立された大寂光殿は運良く焼失を免れた。1911年には寺刹令施行規則の施行により、朝鮮三十一本山に指定され、現在に至るまでその位置を変わらず二世代持っている。

文化財

祗林寺はその美しい建物や貴重な文化財でも知られている。中でも大寂光殿（宝物第833号）は特に重要な存在で、1997年に行われた解体工事中に発見された墨書銘により、1629年に5度目の重修が行われ、その後も改造や修復が重ねられたことが明らかとなった。

その他にも、乾漆菩薩半跏像（宝物第415号）、塑造毘廬遮那三仏坐像（宝物第958号）、そして、塑造毘廬舍那仏腹蔵典籍（宝物第959号）といった貴重な文化財が存在しており、訪れる人々に深い感動を与えている。

まとめ

祗林寺は、その歴史的な背景と文化財から、韓国仏教において重要な役割を果たしてきた。訪れる人々にとって、祗林寺はただの寺院ではなく、古代から続く精神の象徴でもあり、韓国文化の深いひとときを感じさせてくれる場所と言える。

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