神保五弥

神保五彌：近世文学研究者としての生涯と業績

神保五彌（じんぼ かずや、1923年1月19日 - 2009年12月6日）は、近世日本文学研究において卓越した功績を残した学者です。早稲田大学名誉[[教授]]として、長年にわたり後進の育成と研究活動に尽力しました。

山口県防府市に生まれた神保は、早稲田大学文学部国文学専修に入学します。しかし、学業半ばで応召され、南方戦線へと赴きました。ビルマでの捕虜生活を経て、1947年に帰国。その後、早稲田大学に復学し、卒業後は同大学で助[[教授]]、教授を務め、1993年に定年退職しました。2009年、膵臓癌のため86歳で逝去しました。

彼の研究対象は、近世文学の広範な分野に及びました。特に、井原西鶴の浮世草子、為永春水の洒落本、人情本、そして滑稽本など、近世文学を彩る多様なジャンルに精通していました。数多くの著作の中で、これらの作品群を多角的に分析し、その文学的価値を明らかにしました。

神保の学問的貢献は、単なる研究活動にとどまりません。彼は『日本古典文学全集』『洒落本大成』『上田秋成全集』など、多くの古典文学全集の編集にも携わり、日本の古典文学研究に多大な影響を与えました。これらの編集作業を通して、彼は貴重な古典作品を現代の読者に届ける役割を果たしました。

彼の著作は、近世文学の様々な側面に光を当てています。例えば、『為永春水の研究』では、為永春水の作品世界を詳細に分析し、その魅力を明らかにしています。また、『西鶴商法 根と才覚で生き抜いた元禄商人』や『元禄豪商物語 どう儲け・どう遊び・どう生きたか』では、経済的側面から近世社会を読み解き、新たな視点を提示しました。さらに、『浮世風呂 江戸の銭湯』では、江戸時代の庶民文化を活写し、当時の社会状況を鮮やかに描き出しています。

彼の研究は、単なる文献の整理や解釈にとどまらず、近世社会の生き生きとした姿を浮き彫りにするものでした。現代の私たちが近世文学を理解する上で、神保五彌の業績は不可欠なものです。 彼の著作や編纂活動は、今もなお多くの研究者や愛好家に影響を与え続け、近世文学研究の基礎を築き、発展させる上で大きな役割を果たしました。

神保五彌の生涯は、激動の時代を生き抜き、学問に情熱を注ぎ続けた一人の研究者の物語です。彼の功績は、これからも日本の近世文学研究を支え続けるでしょう。

主な著書・編纂物

『為永春水の研究』(白日社)
『西鶴商法 根と才覚で生き抜いた元禄商人』(日本実業出版社)
『元禄豪商物語 どう儲け・どう遊び・どう生きたか』(産報)
『浮世風呂 江戸の銭湯』(毎日新聞社)
『近世日本文学史（編）』(有斐閣双書)
『上方商法西鶴のおしえ 知恵と才覚を活かすコツ』(PHP研究所)
『為永春水人情本』(古典文庫)
『春色恋白波 為永春水』(古典文庫)
『浮世風呂 式亭三馬』(角川文庫)
『滑稽本』(小学館、日本古典文学全集)
『好色五人女 井原西鶴』(明治書院、校注古典叢書)
『新日本古典文学大系 86 浮世風呂・戯場粋言幕の外・大千世界楽屋探』(岩波書店)
『江戸文学研究』(新典社)

関連事項

為永春水
井原西鶴
日本近世文学

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