神田茂

神田茂（かんだ しげる）は、1894年（明治27年）に大阪府で生まれ、1974年（昭和49年）に生涯を閉じた日本の天文学者です。アマチュア天文家の指導者として非常に有名で、その功績は多岐にわたります。

生涯

神田茂は、麻布中学校、第二高等学校を経て、1920年（大正9年）に東京帝国大学理学部天文学科を卒業しました。卒業後、東京天文台（現在の国立天文台）に技手として勤務し、同年の8月20日には、はくちょう座に新星を発見するという偉業を成し遂げました。

東京天文台では、『理科年表』や日本天文学会の会誌である『天文月報』の編集に携わり、日本の天文学の発展に貢献しました。また、星の古記録を組織的に収集し、『日本天文史料綜覧』（1934年）や『日本天文史料』（1935年）としてまとめ、日本の天文学史研究に重要な資料を提供しました。

1943年（昭和18年）に東京天文台を退官した後、神奈川県湯河原に移住しました。1945年（昭和20年）には「神田天文学会」を創立し、翌年には「日本天文研究会」と改称しました。この研究会は、アマチュア天文家の育成に力を注ぎ、神田茂自身もその指導に熱心でした。一時期は横浜国立大学教授も務め、教育者としてもその才能を発揮しました。その指導力と情熱から「西の山本一清、東の神田茂」と並び称されるほど、アマチュア天文家からの信頼と尊敬を集めていました。

1974年（昭和49年）、肝臓癌のため逝去されました。

功績

神田茂の没後、遺族からの寄付を元に日本天文学会が「神田茂記念賞」を設けました。1976年（昭和51年）には、アマチュア[[天文学]]の分野で顕著な功績を上げた9名に対し、賞状とメダルが贈られました。この賞は、神田茂の偉大な業績を称え、アマチュア天文家の活動を奨励するために設立されたものです。

また、神田茂の弟子には、広瀬秀雄がいます。広瀬秀雄もまた、天文学の分野で重要な研究を行い、日本の天文学界に貢献しました。

著書

神田茂は、数多くの著書を執筆しました。

単著

『彗星』（古今書院、1925年）
『物理学及ビ化学・惑星の話他』（岩波書店、岩波講座、1929年）
『日本の天文気象史料』（あしかび書房、1947年）
『主要変光星表』（恒星社厚生閣、1950年）
『天文学概説　新訂版』（恒星社厚生閣、1959年）
『天文学の歴史・江戸時代の天文学』（恒星社厚生閣、新天文学講座12、新版、1964年）
『三正綜覧－付：陰陽暦対照表』（芸林舎、1973年）
『明治前　日本天文学史・観測史』（日本学士院編、1979年）

共著

『天文地球物理学』（恒星社厚生閣、1957年）

編著

『日本天文史料　上下　復刻版』（原書房、1978年）
『日本天文史料綜覧』（原書房、1978年）

校訂

『新撰・全天恒星図』（恒星社厚生閣、1946年）

これらの著作は、天文学の研究者だけでなく、アマチュア天文家にとっても貴重な資料となっています。

神田茂は、日本の天文学界に多大な貢献をした偉大な天文学者であり、その功績は今もなお、多くの人々に語り継がれています。

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