神童寺

神童寺：歴史と文化が息づく古刹

京都府木津川市山城町に佇む神童寺は、真言宗智山派に属する由緒ある寺院です。北吉野山を仰ぎ見る静寂な地にあり、その歴史は古く、聖徳太子創建の寺院「大観世音教寺」に遡ると伝えられています。

寺伝によれば、天武天皇4年（675年）、役行者が修行中に現れた二神童の助力によって蔵王権現像を刻み、これを本尊として祀ったことから、寺名は「神童教護国寺」や「神童寺」へと変わりました。大和国吉野郡金峰山を拠点とする修験者集団の影響を受け、修験道の道場として栄えました。

しかし、歴史の過程において幾度となく災厄に見舞われます。最盛期には二十六坊もの堂宇を擁していましたが、治承4年（1180年）の平資盛の兵火によって全焼。その後、源頼朝によって再建されるも、元弘元年（1331年）の元弘の乱で再び焼失しました。応永13年（1406年）に興福寺官務懐乗越前によって現在の本堂である蔵王堂が再建され、江戸時代には有栖川宮から御祈願所として厚い庇護を受けました。

現存する建造物と文化財

現在も残る建造物や所蔵する仏像は、神童寺の歴史を物語る貴重な文化財です。

本堂（重要文化財）： 応永13年（1406年）に再建された現在の本堂は、室町時代の建築様式を示す貴重な遺構です。

護摩堂（木津川市指定有形文化財）： 江戸時代に再建された護摩堂は、神仏習合の信仰を伝える重要な建物です。

山門（表門、木津川市指定有形文化財）： 江戸時代に再建された山門は、寺院の威厳を感じさせる風格を保っています。

さらに神童寺は、数多くの仏像を所蔵しています。

木造愛染明王坐像（重要文化財）： 天弓愛染と呼ばれる珍しい姿で、天に向かって矢を射る愛染明王像は、日本にわずか4体しか現存しない貴重なものです。
木造不動明王立像（重要文化財）： 波切白不動尊と呼ばれる白い肌の子供のような姿をした不動明王像も、日本に4体しかなく、白色のものはこの像のみという大変貴重なものです。
木造阿弥陀如来坐像（重要文化財）： 平安時代の作と推定される阿弥陀如来坐像。
木造毘沙門天立像（重要文化財）： 平安時代の作と推定される毘沙門天立像。
木造日光菩薩立像（重要文化財）： 平安時代の作と推定される日光菩薩立像。
木造月光菩薩立像（重要文化財）： 平安時代の作と推定される月光菩薩立像。
* 木造伎楽面（重要文化財）： 建久7年（1196年）に作られた伎楽面。

これらの仏像は、平安時代の仏師の技と信仰の深さを伝える貴重な遺品として、高く評価されています。

アクセス

神童寺へのアクセスは、JR奈良線棚倉駅から徒歩約40分、または自動車で約10分です。静寂な山里に佇む神童寺は、歴史と文化に触れる貴重な体験を提供してくれるでしょう。四季折々の自然に囲まれた境内は、訪れる人々にやすらぎを与えてくれます。

もう一度検索