神通峡岩稲温泉
富山県富山市岩稲に位置する神通峡岩稲温泉は、時に「岩稲温泉」という簡略化された名称で呼ばれることがあります。この温泉地は、雄大な神通川が長い年月をかけて創り出した神通峡の美しい渓谷のすぐそばにあります。地域の自然景観と調和した静かな環境が魅力です。2021年時点では、富山市の第三セクターである株式会社「ほそいり」が施設の運営を担っています。
神通峡岩稲温泉は、かつてその泉質からくる独特の浴感が大きな特徴でした。肌に触れるとヌルヌルとした感触があり、これは富山県内では比較的珍しい性質でした。このヌルつきは肌を滑らかにする効果があるとして、「美人の湯」とも称され、多くの利用者に親しまれていました。また、秋には周辺の山々が鮮やかに色づく神通峡や、猿倉山の美しい紅葉を眺めながら入浴できることも、この温泉の大きな魅力の一つです。
温泉の歴史は1987年5月に始まります。この時、神通峡開発企画、友愛病院、アルプス技研の3社が共同で温泉掘削に着手しました。計画通り地下700メートルの深度まで掘削を進めた結果、翌1988年1月には待望の温泉が湧き出しました。湧出量は毎分189リットル、泉温は35.1℃、pHは8.6というデータが記録されています。この新しい源泉を利用した一軒宿の建設計画が進められ、仮称「岩稲ふれあいセンター」として1994年9月9日に着工。約1年半の工事期間を経て、1996年4月23日に「楽今日館」として開業しました。当初は日帰り温泉施設としての営業でしたが、利用者から宿泊や休憩のための施設拡充を求める声が多く寄せられました。これに応える形で、1998年からは宿泊棟の増築工事が開始されました。この宿泊施設は鉄筋コンクリート造りを主体とした地下1階、地上2階建てで、延床面積は約1,327平方メートルを誇ります。工事は順調に進み、1999年11月11日に完成し、現在に至る宿泊・日帰り複合施設としての体制が整いました。
ポンプ故障前の旧源泉について記述します。この温泉は茶色みがかった湯色を特徴とする弱アルカリ性の炭酸水素塩泉でした。特に、カルシウムなどの金属石鹸の成分がほとんど含まれていないため、肌に触れるとヌルヌルとした感触があり、これが「美人の湯」と呼ばれる所以となりました。湯上がりには肌がツルツルになる効果が期待できます。詳細な泉質分析では、ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物泉に分類され、源泉温度は31.7℃、微かな甘味と塩味があり、湯色はわずかに緑色を帯びていました。pHは8.3と弱アルカリ性で、低張性の温泉でした。
2021年、神通峡岩稲温泉は源泉供給において大きな問題を抱えることとなりました。同年4月、温泉を施設まで送り上げていた近くの山中にあるポンプが、長年の使用による水圧や腐敗が原因で故障してしまったのです。このポンプは地下約200メートルという深い場所に設置されていたため、その修理や交換を行う復旧工事は非常に困難であり、やむなく断念されました。この緊急事態に対応するため、温泉の営業を継続するために一時的な措置として、近隣の立山山麓温泉から温泉を運び、代替として使用することになりました。しかし、これはあくまで応急処置であり、より安定的かつ長期的な源泉確保が求められました。そこで、同年11月を目途に新たな供給源として検討されたのが、約1キロメートル離れた楡原地区にある「神通峡温泉」の源泉でした。この源泉はかつて温泉病院で使用されていましたが、病院の閉院後に富山市に寄贈されていたもので、泉質が神通峡岩稲温泉の旧源泉とほぼ同じであることが確認されました。綿密な準備が進められ、2021年11月12日からは、この神通峡温泉の源泉を毎日タンクローリーで運搬し、楽今日館での温泉利用が再開されました。これにより、源泉の場所は変わりましたが、温泉施設としての運営を継続することが可能となりました。
神通峡岩稲温泉の主要施設である「楽今日館」は、富山市の第三セクターである株式会社ほそいりが管理運営する温泉施設です。広々とした内湯に加え、神通峡の雄大な景色を間近に望むことができる展望露天風呂が備わっており、四季折々の自然を満喫しながらの入浴が楽しめます。さらに、高温サウナとスチームサウナも完備されており、心身のリフレッシュに適しています。施設名である「楽今日館（らっきょうかん）」は、この温泉が位置する旧細入村の特産品であるラッキョウにちなんで名付けられました。温泉設備以外にも、神通峡の美しい眺めを楽しめる休憩スペースや、地元の食材を活かした料理を提供するレストラン、地域の特産品や土産物を購入できる売店、多目的に利用可能な大広間や研修室なども併設されており、日帰り利用だけでなく、滞在型の利用にも対応しています。
宿泊施設は木の温もりを生かした落ち着いた和風の造りとなっています。8畳から15畳まで様々なタイプの和室が全13室用意されており、最大で58人までの宿泊または休憩での利用が可能です。
神通峡岩稲温泉「楽今日館」へのアクセスは、公共交通機関と自家用車のいずれでも比較的便利です。
公共交通機関
富山地方鉄道バスを利用する場合、「岩稲温泉楽今日館前」バス停で下車すると、施設は目の前です。
鉄道を利用する場合は、JR西日本高山本線の楡原駅が最寄り駅となります。駅からは徒歩で約25分、またはタクシーを利用すれば約5分程度で到着します。
自家用車
国道41号線沿いに位置しており、道路からのアクセスは良好です。北陸自動車道の富山インターチェンジ（IC）からは、約13キロメートルの距離にあります。
営業時間
午前10時から午後10時まで営業しています。
定休日
定休日は元日と、設備のメンテナンスのために設けられる不定期な休館日があります。
* 入浴料
中学生以上の方が650円、小学生が330円です。小学生未満のお子様は無料で利用できます。
楽今日館の隣には、富山県営カヌー場が併設されており、温泉利用と合わせてカヌーなどのウォータースポーツを楽しむことも可能です。
特徴
神通峡岩稲温泉は、かつてその泉質からくる独特の浴感が大きな特徴でした。肌に触れるとヌルヌルとした感触があり、これは富山県内では比較的珍しい性質でした。このヌルつきは肌を滑らかにする効果があるとして、「美人の湯」とも称され、多くの利用者に親しまれていました。また、秋には周辺の山々が鮮やかに色づく神通峡や、猿倉山の美しい紅葉を眺めながら入浴できることも、この温泉の大きな魅力の一つです。
源泉開発と施設の歴史
温泉の歴史は1987年5月に始まります。この時、神通峡開発企画、友愛病院、アルプス技研の3社が共同で温泉掘削に着手しました。計画通り地下700メートルの深度まで掘削を進めた結果、翌1988年1月には待望の温泉が湧き出しました。湧出量は毎分189リットル、泉温は35.1℃、pHは8.6というデータが記録されています。この新しい源泉を利用した一軒宿の建設計画が進められ、仮称「岩稲ふれあいセンター」として1994年9月9日に着工。約1年半の工事期間を経て、1996年4月23日に「楽今日館」として開業しました。当初は日帰り温泉施設としての営業でしたが、利用者から宿泊や休憩のための施設拡充を求める声が多く寄せられました。これに応える形で、1998年からは宿泊棟の増築工事が開始されました。この宿泊施設は鉄筋コンクリート造りを主体とした地下1階、地上2階建てで、延床面積は約1,327平方メートルを誇ります。工事は順調に進み、1999年11月11日に完成し、現在に至る宿泊・日帰り複合施設としての体制が整いました。
泉質（旧源泉）
ポンプ故障前の旧源泉について記述します。この温泉は茶色みがかった湯色を特徴とする弱アルカリ性の炭酸水素塩泉でした。特に、カルシウムなどの金属石鹸の成分がほとんど含まれていないため、肌に触れるとヌルヌルとした感触があり、これが「美人の湯」と呼ばれる所以となりました。湯上がりには肌がツルツルになる効果が期待できます。詳細な泉質分析では、ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物泉に分類され、源泉温度は31.7℃、微かな甘味と塩味があり、湯色はわずかに緑色を帯びていました。pHは8.3と弱アルカリ性で、低張性の温泉でした。
2021年の源泉供給問題
2021年、神通峡岩稲温泉は源泉供給において大きな問題を抱えることとなりました。同年4月、温泉を施設まで送り上げていた近くの山中にあるポンプが、長年の使用による水圧や腐敗が原因で故障してしまったのです。このポンプは地下約200メートルという深い場所に設置されていたため、その修理や交換を行う復旧工事は非常に困難であり、やむなく断念されました。この緊急事態に対応するため、温泉の営業を継続するために一時的な措置として、近隣の立山山麓温泉から温泉を運び、代替として使用することになりました。しかし、これはあくまで応急処置であり、より安定的かつ長期的な源泉確保が求められました。そこで、同年11月を目途に新たな供給源として検討されたのが、約1キロメートル離れた楡原地区にある「神通峡温泉」の源泉でした。この源泉はかつて温泉病院で使用されていましたが、病院の閉院後に富山市に寄贈されていたもので、泉質が神通峡岩稲温泉の旧源泉とほぼ同じであることが確認されました。綿密な準備が進められ、2021年11月12日からは、この神通峡温泉の源泉を毎日タンクローリーで運搬し、楽今日館での温泉利用が再開されました。これにより、源泉の場所は変わりましたが、温泉施設としての運営を継続することが可能となりました。
施設：楽今日館
神通峡岩稲温泉の主要施設である「楽今日館」は、富山市の第三セクターである株式会社ほそいりが管理運営する温泉施設です。広々とした内湯に加え、神通峡の雄大な景色を間近に望むことができる展望露天風呂が備わっており、四季折々の自然を満喫しながらの入浴が楽しめます。さらに、高温サウナとスチームサウナも完備されており、心身のリフレッシュに適しています。施設名である「楽今日館（らっきょうかん）」は、この温泉が位置する旧細入村の特産品であるラッキョウにちなんで名付けられました。温泉設備以外にも、神通峡の美しい眺めを楽しめる休憩スペースや、地元の食材を活かした料理を提供するレストラン、地域の特産品や土産物を購入できる売店、多目的に利用可能な大広間や研修室なども併設されており、日帰り利用だけでなく、滞在型の利用にも対応しています。
宿泊施設は木の温もりを生かした落ち着いた和風の造りとなっています。8畳から15畳まで様々なタイプの和室が全13室用意されており、最大で58人までの宿泊または休憩での利用が可能です。
アクセス
神通峡岩稲温泉「楽今日館」へのアクセスは、公共交通機関と自家用車のいずれでも比較的便利です。
公共交通機関
富山地方鉄道バスを利用する場合、「岩稲温泉楽今日館前」バス停で下車すると、施設は目の前です。
鉄道を利用する場合は、JR西日本高山本線の楡原駅が最寄り駅となります。駅からは徒歩で約25分、またはタクシーを利用すれば約5分程度で到着します。
自家用車
国道41号線沿いに位置しており、道路からのアクセスは良好です。北陸自動車道の富山インターチェンジ（IC）からは、約13キロメートルの距離にあります。
営業情報（2021年7月現在）
営業時間
午前10時から午後10時まで営業しています。
定休日
定休日は元日と、設備のメンテナンスのために設けられる不定期な休館日があります。
* 入浴料
中学生以上の方が650円、小学生が330円です。小学生未満のお子様は無料で利用できます。
その他
楽今日館の隣には、富山県営カヌー場が併設されており、温泉利用と合わせてカヌーなどのウォータースポーツを楽しむことも可能です。
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