祥興帝

祥興帝：南宋最後の皇帝、波乱の生涯と崖山の悲劇

祥興帝（しょうこうてい）は、南宋最後の第9代皇帝であり、諱は趙昺（ちょうへい）と言います。廟号や諡号を持たないため、在位中の元号から祥興帝と呼ばれています。また、即位以前の王号である衛王（えいおう）と呼ばれることもあります。少帝や幼主、帝昺と称されることもあります。

生涯

誕生と即位

咸淳7年（1271年）に、度宗の七男として生まれました。母は修容の兪氏です。異母兄に端宗、異母弟に恭帝がいます。

咸淳10年（1274年）に信王に封じられ、後に広王に変更されました。徳祐2年（1276年）に臨安が陥落し、恭帝と謝太后が元軍に囚われると、益王趙昰（後の端宗）が福建に逃れて即位し、趙昺は衛王に封じられました。景炎3年（1278年）に端宗が崩御すると、陸秀夫によって碙洲梅蔚（現在の香港大嶼山梅窩）で皇帝に擁立され、祥興と改元しました。元軍を避けて崖山へと逃れました。

崖山の戦いと最期

祥興2年（1279年）、元の張弘範による崖山攻撃が開始されました。張世傑の指揮の下、宋軍は抵抗を続けましたが、崖山の戦いで壊滅しました。陸秀夫は8歳の趙昺を抱いて入水し、ここに南宋は完全に滅亡しました。

滅亡後

崖山における陸秀夫と幼帝の悲劇的な最期は、多くの人々に哀惜の念を与え続けています。日本の壇ノ浦の戦いにおける安徳天皇と二位尼の入水と状況が酷似しているため、菅茶山の漢詩「赤間が関懐古」や安積艮斎の漢詩「壇浦懐古」など、文学作品にも取り上げられています。

広東省の地元住民の間では、元軍との最後の戦いの前に祥興帝が長州の寺院に仮御所を置き、修行僧たちが作った野菜スープを気に入ったという逸話が残っています。皇帝はその汁物を「護国菜」と名付け、その後、護国菜を作ることが祥興帝を称える意味を持つようになったと伝えられています。

祥興帝の短い生涯は、南宋の滅亡とともに幕を閉じましたが、彼の悲劇は人々の記憶に深く刻まれ、様々な形で語り継がれています。

関連項目

宋王台 - 香港の地名。端宗と衛王の兄弟が休息した場所と伝えられています。
度宗
* 陸秀夫

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