福井川橋梁

福井川橋梁：歴史と景観が織りなす鉄道橋

福井川橋梁は、長崎県佐世保市の吉井町直谷と江迎町田ノ元の境界に位置し、福井川（佐々川支流）に架かる単線の鉄道橋です。松浦鉄道西九州線の潜竜ヶ滝駅と吉井駅間にあり、その美しい姿は地域の景観に溶け込んでいます。

橋梁の概要

この橋梁は、当時の国鉄伊万里線（現在の松浦鉄道西九州線）の建設に伴い、1942年（昭和17年）に竣工しました。そして、1944年（昭和19年）4月13日の潜竜（現在の潜竜ヶ滝）～肥前吉井（現在の吉井）間の開業とともに供用が開始されました。

構造はコンクリート製の3連アーチ橋で、橋梁の全長は79メートル、そのうちアーチ部分は67.06メートル、アーチの半径は10メートルとなっています。その美しいアーチは、鉄道ファンのみならず、多くの人々を魅了しています。

2006年（平成18年）9月には、潜竜ヶ滝駅～吉井駅間にある他の2本の橋梁とともに、国の登録有形文化財に登録されました。さらに、長崎県のまちづくり景観資産にも指定されており、地域にとってかけがえのない存在となっています。

竹筋コンクリート橋説

福井川橋梁の建設時期は、第二次世界大戦中の鉄材が不足していた時期と重なります。そのため、地元住民の間では、鉄筋コンクリートではなく、竹を用いた竹筋コンクリートで建設されたのではないかという証言があります。また、当時の資料が少ないことから、無筋コンクリートである可能性も指摘されています。

もし竹筋コンクリートで建設されたとすれば、現存する鉄道橋としては非常に珍しい事例となります。そのため、松浦鉄道は2002年（平成14年）から調査を開始し、2006年（平成18年）2月には工学院大学に依頼して非破壊検査（電磁波レーダー法）とコア抜き調査を実施しました。

アーチ部分から数カ所のコア抜きが行われましたが、竹筋の使用は確認できませんでした。営業路線であるため、橋梁の強度に影響を与えるような調査は行えず、詳細な調査は困難を極めました。しかし、地元住民からの目撃証言が得られたことから、一部に竹筋が使用されている可能性も否定できません。

アクセス

福井川橋梁へのアクセスは、以下の通りです。

松浦鉄道潜竜ヶ滝駅下車、徒歩約5分
西肥バス「松原町」または「田の元」バス停下車

関連情報

福井川橋梁と同じような形態の橋梁として、廃線となった宮原線の幸野川橋梁があります。こちらも竹筋コンクリートが使用されたという説があります。

外部リンク

有形文化財（松浦鉄道公式ホームページ内）
国立米子工業高等専門学校建築学科　玉井研究室
* 景資第2-63号松浦鉄道福井川橋梁 - 長崎県都市計画課による当橋梁の紹介

福井川橋梁は、その美しい景観と歴史的な背景から、多くの人々にとって魅力的な存在です。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

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