福田克彦

福田克彦：成田空港問題と三里塚闘争を記録したドキュメンタリー映画監督

福田克彦（1943年～1998年）は、日本のドキュメンタリー映画監督として知られています。特に、成田国際空港建設に反対する三里塚闘争に関する作品を数多く制作し、その記録を通して現代社会に問いかけ続けました。本記事では、彼の生涯と作品、そして成田空港問題への関わりについて詳しく見ていきます。

早期の人生と学生時代

福田克彦は1943年、東京都で新聞社勤務の父親のもとに誕生しました。幼少期に負った顔の傷は生涯消えることはありませんでした。彼は幼い頃から天体観測に興味を持ち、自作の天体望遠鏡を製作するなど、好奇心旺盛な少年時代を過ごしました。

高校時代には、ロマン・ロランの作品に感銘を受け、安保闘争に参加するなど政治的な活動にも関与。その活動が原因で停学処分を受けるなど、型にはまらない学生時代を送りました。

大学受験に失敗した後、予備校生活を経て早稲田大学に入学。在学中は早大闘争に参加し、逮捕される経験もしています。大学卒業後は、三陸ファイバーグラスに就職しますが、間もなく退職し、新たな道を歩み始めます。

小川プロダクションと三里塚闘争

1968年、福田は小川紳介監督率いる小川プロダクションに参加します。そこで彼は、三里塚闘争の取材に携わることになります。小川プロダクションの一員として、三里塚シリーズの助監督として6作品に参加。三里塚闘争の現場で、農民たちの抵抗や葛藤を目の当たりにし、深く関わることになります。

母親の死や病気による療養期間を経て、福田は再び三里塚に戻り、生活の糧を得ながら撮影を続け、三里塚芝山連合空港反対同盟青年行動隊を支援しました。

独立と多様な作品制作

小川プロダクションを離れた後も、福田は自身の制作会社を設立。地元自治体のPRビデオ制作なども請け負いながら、三里塚闘争に関する作品制作を継続しました。1992年に小川紳介監督が亡くなると、福田は追悼文を発表しますが、それが物議を醸すことになります。

その後も、地球的課題に関する委員会への参加や大学での講師を務めるなど、活動の幅を広げていきました。成田空港問題歴史伝承部会の事務局長に就任した際には、空港問題に関する歴史の保存と伝承に尽力しました。

後年の活動と死

晩年は、成田空港用水の争議や反対同盟内部の対立に疲弊し、三里塚を離れて東京での制作を模索していました。しかし、吉田司氏との話し合いの後、三里塚闘争の総括役を引き受けることになります。

彼は、農民を無条件に賛美するのではなく、三里塚闘争の複雑な様相を客観的にとらえようとしました。1998年、自身の著書『三里塚アンドソイル』執筆中に脳幹部出血で倒れ、54歳で亡くなりました。

福田克彦の作品

福田克彦の作品は、三里塚闘争を主題としたものが中心ですが、それ以外にも、地方自治体のPRビデオや、個人の人生を描いた作品など、多様な題材の作品を制作しています。彼の作品は、単なる記録にとどまらず、現代社会の問題点を鋭くえぐり出すものでした。

彼の作品リストの一部を紹介します。
『映画作りとむらへの道』
『三里塚には三里塚の農業があり、木の根には木の根の風が吹く』
『天国は激しく襲われる』
『追跡 自白調書-三里塚東峰十字路裁判-』
『ヒーロー伝説 ザ・カオル』
『三里塚アンドソイル』(著書)

まとめ

福田克彦は、成田空港問題と三里塚闘争を記録した重要なドキュメンタリー映画監督でした。彼の作品は、歴史的、社会的な意義だけでなく、芸術的な価値も高く評価されています。彼の功績は、これからも多くの人々に影響を与え続けることでしょう。彼の生涯と作品を通して、現代社会の課題を改めて見つめ直す機会となることを願います。

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