秋田労災病院

独立行政法人労働者健康安全機構 秋田労災病院

秋田労災病院（あきたろうさいびょういん）は、独立行政法人労働者健康安全機構によって運営されている医療機関で、秋田県大館市軽井沢に所在します。

設立の背景と沿革

この病院の設立は、秋田県北部地域がかつて多くの鉱山（小坂鉱山、尾去沢鉱山など）を抱え、そこで働く人々に特有の労働災害、特にじん肺や珪肺といった呼吸器疾患が多く発生していた歴史的背景に深く関わっています。当時、これらの深刻な労働災害に対して、地域には十分な治療を提供できる医療施設が存在しませんでした。この状況を受けて、労働者の健康保護を目的として、当時の労働省（現在の厚生労働省）が、北秋田郡十二所町軽井沢（現・大館市軽井沢）に専門的な病院を設置することを決定しました。

1953年12月1日、東北労災病院の分院として、内科、外科、整形外科の3診療科、20床の規模で開院しました。その後、地域の医療ニーズに応える形で施設・機能が拡充され、1956年7月10日には秋田労災病院として独立。同時に理学療法科と歯科が開設され、病床数も200床に大幅に増加しました。地域の中核病院としての役割を強化し、1985年8月16日には救急告示病院の指定を受け、地域の救急医療体制の一翼を担うようになりました。施設の老朽化に対応するため、1988年から増改築工事が進められ、1992年に完了。2003年4月には勤労者予防医療部が設置され、診療科は20科体制となりました。運営主体については、時代とともに変化しており、2004年4月1日には労働福祉事業団から独立行政法人労働者健康福祉機構へ、さらに2016年4月1日には独立行政法人労働者健康福祉機構の改組に伴い独立行政法人労働者健康安全機構へと移行しています。

特色

秋田労災病院は、労働災害医療の専門病院としての役割に加え、地域医療にも貢献する様々な特色を持っています。特に注目されるのは、病院敷地内に源泉を持つ温泉を医療に活用している点です。温泉を利用したリハビリテーションプログラムを提供することで、患者の機能回復を支援しています。また、入院患者向けに温泉浴場を設け、療養環境の向上に努めています。医療技術の面では、特に整形外科分野に強みがあり、関節疾患や脊椎疾患などに対する高度な手術を積極的に行っています。これを支えるため、バイオクリーンルームと呼ばれる、清浄度の極めて高い無菌手術室を備えています。

医療体制と指定状況

現在の許可病床数は194床で、すべて一般病床です。診療科は、内科、外科、皮膚科、消化器科（予約制）、泌尿器科（予約制）、脳神経外科、整形外科、眼科（予約制）、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科（予約制）など、多岐にわたります。専門性の高い医療を提供するため、複数の専門医が在籍しており、整形外科専門医6名、総合内科専門医1名、外科専門医2名、脳神経外科専門医2名、その他にも麻酔科、泌尿器科、糖尿病、循環器、消化器病、透析の専門医（計0.5名）が勤務しています。

公的な医療機関として、以下の様々な指定を受けています。

保険医療機関（健康保険法・国民健康保険法）
救急告示病院
労災保険指定医療機関
身体障害者福祉法指定医の配置されている医療機関
臨床研修指定病院
生活保護法指定医療機関
原子爆弾被爆者一般疾病医療取扱医療機関

交通アクセス

秋田労災病院へのアクセス手段は複数あります。

鉄道:
JR花輪線 大滝温泉駅下車、徒歩約10分。駅からは送迎バスや路線バスも利用できます。
JR奥羽本線 大館駅下車、路線バスで約42分です。
バス:
秋北バスの路線バスで「労災病院前」バス停が病院前にあります。大館市街や鹿角市方面からのアクセスに便利です。
高速バス「みちのく号」の大滝温泉バス停からは徒歩約16分です（鹿角市・盛岡駅方面の乗降のみ可能）。
車:
* 国道103号大館バイパスを経由して市道に入ると病院に至ります。446台分の無料駐車場が完備されています。

関連情報

地域における医療連携を重視しており、秋田大学医学部附属病院、弘前大学医学部附属病院、岩手医科大学附属病院といった県内外の基幹病院と連携体制を構築しています。また、大館市内には大館市立総合病院や大館市立扇田病院などの他病院も存在します。労働災害に関する疾患としては、病院設立の契機ともなったじん肺などがあります。

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