科野大宮社

科野大宮社（しなのおおみやしゃ）

科野大宮社は、長野県上田市に位置する神社で、かつては信濃国総社であったと推定されています。旧社格は県社であり、地元の人々から崇敬を集めています。

祭神

主祭神は以下の二柱です。

大己貴命（おおなむちのみこと）
事代主命（ことしろぬしのみこと）

相殿神として、健御名方富命（たけみなかたとみのみこと）も祀られています。

歴史

社伝によると、創建は第10代崇神天皇の御代に、神八井耳命の孫である建五百建命（たけいほたけのみこと）によって行われたと伝えられています。天武天皇の時代には神地が下賜され、天平年間には官祭が執行された記録も残っています。

信濃国府は古代には上田市にあったとされていますが、平安時代初期に松本市へ移されたと考えられています。上田市の国府は神科台地上にあったと推定されており、科野大宮社は国司が参拝する総社としての役割を担っていたという説があります。周辺には、信濃国分寺跡や信濃国分尼寺跡も存在しており、古代の歴史を感じさせる場所です。

古くは「総社大宮」や「科野国魂神」と称され、中世には常田荘の中心に位置し、「大宮諏訪大明神」とも呼ばれていました。康安2年（1362年）には、関東管領の足利基氏が彗星の出現に際し、天下の安全を祈願して願文を奉納したとされています。

真田氏が上田城を築城してからは、科野大宮社は城の鎮守と定められ、信濃国分寺三重塔とともに藩費で修繕が行われました。寛文9年（1669年）頃の城下町古地図には、「常田村大宮」と記されています。

明治時代に入り、近代社格制度においては県社に列せられ、社名を現在の「科野大宮社」に改称しました。

境内

境内には、樹齢を重ねた大木が数多く立っており、社叢は上田市指定の天然記念物に指定されています。現在の社殿は、万延元年（1860年）に上田城主であった松平忠礼によって再建されたものです。

境内社として六所明神と駒形稲荷社があり、これらは天正年間の上田城築城の際に、上田旧城地から移されたと伝えられています。

文化財

上田市指定文化財
科野大宮社社叢：昭和44年5月9日指定

現地情報

所在地：長野県上田市常入字上常田723-1
交通アクセス：
東日本旅客鉄道（JR東日本）・しなの鉄道・上田電鉄 上田駅より徒歩約12分

周辺施設

上田城
信濃国分寺跡
信濃国分尼寺跡
信濃国分寺 - 現在の後継寺院

脚注

境内説明板
『日本歴史地名体系 長野県の地名』（平凡社）上田市 科野大宮社項
黒坂周平・滝澤主税「科野大宮」（谷川健一 編『日本の神々 -神社と聖地- 9 美濃・飛騨・信濃』（白水社））

関連項目

伊和神社（長野県松本市） - 科野大宮社と同様に信濃国総社と推定される神社

外部リンク

科野大宮社社叢（上田市文化財マップ）

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