秩父鉄道3000系電車

秩父鉄道3000系電車

秩父鉄道3000系電車は、かつて秩父鉄道で急行列車に使用されていた車両です。老朽化した300系の代替として、JR東日本から譲り受けた165系電車を改造したものです。

概要

秩父鉄道では、長年急行用車両として300系を使用していましたが、老朽化と冷房設備の欠如が課題となっていました。そこで、300系の置き換えとして、1992年にJR東日本の165系急行形電車3両編成3本（計9両）を購入し、自社で改造を施しました。

外観は、「青い空、白い雲、清流」をテーマに、クラシックホワイトをベースにスカイブルーのラインと窓枠、正面にはブラックを配色。内装は、クリームホワイトを基調とし、白い天井や側板にグレー、床に霜降りグレーを配し、一体化したグローブ付き蛍光灯を設置することでイメージアップを図りました。座席は、つや消し黒の脚台とブルーグレーの生地を使用し、モノトーンでまとめられ、落ち着いた雰囲気となりました。

改造内容

導入にあたっては、日本電装（現・デンソー）による出張改造が実施され、以下のような変更が加えられました。

MT54形主電動機の限流値を下げ、出力を120kWから105kWに抑制
マスター・コントローラーの交換に伴う抑速ブレーキの使用停止
列車無線アンテナを棒形から逆L字形に交換
自動列車停止装置をATS-P・SNから秩父鉄道形ATSに交換
前面の非貫通化
前照灯・尾灯を同じケースにまとめ、角形に形状変更
愛称表示板差しを新設
上部列車種別表示器を撤去
上部標識灯を新設
M'車のパンタグラフを2基に増設
中央窓を大型化し、アルミサッシをブロンズ化
灰皿の撤去
デッキ仕切りドアの自動化
汚物処理設備未設置のため便所を撤去し、機械室を配置

運用

3000系は、主に秩父本線の急行「秩父路」として運用されました。また、時期によっては以下の急行列車としても運転されました。

1月上旬：急行「開運号」
2月頃：急行「ロウバイ号」
4月上旬：急行「さくら号」
5月頃：急行「芝桜号」
5月～7月頃：広瀬川原イベント直通列車
8月頃：急行「熊谷うちわ祭り号」
11月頃：急行「荒川村そばまつり号」
12月3日：急行「秩父夜祭号」

これらの多くは定期「秩父路」の愛称名変更によるものでしたが、専用のヘッドマークを愛称表示板差しに掲出して運転されました。

愛称表示板は内側差し込み式で、沿線でイベントが開催される際には特製の表示板が掲出されました。「回送」「臨時」の表示板はありましたが、「準急」「各停」の表示板はなく、その場合は無表示となりました。

6000系への置換え

2003年の安全性緊急評価における現車調査で、車両の老朽化が指摘されました。特に主回路の配線の経年劣化が著しく、延命には大規模な更新工事が必要でした。将来的な車両機器の修繕や部品調達などを考慮した結果、6000系3編成を代替車両として導入することが決定されました。

2006年3月15日から3000系から6000系への置き換えが開始され、3002・3003編成が廃車となりました。廃車後、2編成は広瀬川原車両基地の無架線地帯に留置され解体されましたが、3003編成のデハ3003は車体を半分に切断し、八高線竹沢駅付近の国道254号沿いでラーメン店として利用されました。ラーメン店の廃業後も車体はしばらく放置されていましたが、道路の拡幅工事に伴い解体撤去されました。

最後まで残った3001編成は、2006年11月17日で「秩父路 EXPRESS」の愛称表示を終了。翌18日からは2種類のデザイン各2色計4パターンの「ファイナルラン」愛称板を掲出して運用され、25日の臨時列車「さよなら3000系号」及びイベントをもって運用を終了しました。その後も同年11月末まで波動用として残存していましたが、2007年1月に広瀬川原で解体され、3編成すべてが廃車となりました。

2019年現在、番号不明の先頭車（クハ3203？）が切断された状態で、横瀬町の林道焼山線沿いにある採石場の資材置き場に放置されています。

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