稲嶺惠一

稲嶺惠一（いなみね けいいち）

稲嶺惠一は、1933年（昭和8年）10月14日生まれの実業家、元政治家であり、沖縄県知事を務めました。沖縄県国頭郡本部町の出身で、父は琉球石油（現・りゅうせき）創業者で元参議院議員の稲嶺一郎です。旭日重光章を受章しています。

経歴

中国遼寧省大連市で生まれ、1957年（昭和32年）に慶應義塾大学経済学部を卒業後、いすゞ自動車に入社しました。

1973年（昭和48年）に父が創業した琉球石油（現・りゅうせき）に転じ、1974年（昭和49年）に取締役、1986年（昭和61年）には社長に就任しました。その後、会長、及びりゅうせきネットワーク会議議長も務めました。また、南西航空（現・日本トランスオーシャン航空）の会長も兼任しました。

1989年（平成元年）には沖縄経済同友会特別幹事、沖縄県冷蔵倉庫協会会長、沖縄自由貿易地域事業者協会副会長、地域産業技術振興協会理事長などを歴任し、1991年（平成3年）には沖縄県経営者協会会長、1994年（平成6年）には沖縄県青年海外協力隊を支援する会会長、1996年（平成8年）には沖縄懇話会代表幹事を務めました。

1998年（平成10年）には沖縄県知事選に立候補し、現職の大田昌秀氏らを破り初当選しました。2002年（平成14年）には再選を果たし、2期8年知事を務めました。

知事在任中には、2000年（平成12年）に沖縄を訪れたアメリカ大統領クリントンを平和の礎などに案内しました。

2006年（平成18年）に退任し、2008年（平成20年）には旭日重光章を受章しました。

政策と業績

稲嶺知事の時代には、2000年に開催された九州・沖縄サミットの誘致、二千円札（弐千円券）の発行、沖縄都市モノレール線の開通など、数々の功績がありました。

普天間基地移設問題

普天間基地移設問題においては、稲嶺知事は県民の意思を尊重する立場を貫きました。

防衛官僚の守屋武昌氏との間で、基地移設問題について意見の相違がありました。守屋氏は早期決着を目指していましたが、稲嶺知事は県民の意向を重視し、慎重な姿勢を示しました。稲嶺氏は、県民と中央政府の間には基地問題に対する認識に大きな隔たりがあり、沖縄県民の多くが県外移設を求めている現状を踏まえ、安易な妥協はできないと主張しました。

一方、守屋氏は、稲嶺知事が当初公約していた軍民共用空港建設を進めず、問題解決を先延ばしにしたと批判しました。また、沖国大米軍ヘリ墜落事件発生時、稲嶺知事がアメリカを批判したことも批判しました。

著書

『我以外皆我が師 稲嶺惠一回顧録』（琉球新報社、2011年）
共著『沖縄の自立と日本 「復帰」40年の問いかけ』（岩波書店、2013年）

関連事項

慶應義塾大学
在日米軍再編
* 稲嶺一郎

稲嶺惠一氏は、実業家、政治家として沖縄県の発展に大きく貢献した人物であり、その功績は多方面にわたっています。

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