稲村神社 (常陸太田市)

稲村神社の紹介

稲村神社（いなむらじんじゃ）は、茨城県常陸太田市天神林町に位置する由緒ある神社です。この神社は式内社の論社に位置づけられており、旧社格は郷社とされています。

祭神

稲村神社には、以下の12柱の神々が祀られています。主祭神は饒速日命（にぎはやひのみこと）で、物部氏の祖として知られています。そのほかに、神世七代の神々が信仰されています。

歴史

創建の背景

この神社が位置する地域は、古くは久自国造の拠点であったと考えられています。『先代旧事本紀』の「国造本紀」には、成務天皇の時代に伊香色雄命の三世孫である船瀬足尼命が初代久自国造に任命されたことが記されています。この船瀬足尼命が、饒速日命を祀ったとされ、そのため「天神」や「七代天神」と称されるようになったと伝えられています。また、日本武尊が東征の際にこの地で神々を祀ったという伝説もあります。

南西には梵天山古墳群があり、その主たる古墳である梵天山古墳は茨城県内で第二位の規模を誇ります。この古墳が船瀬足尼命の墓であるとの伝承も存在しています。

史実の記録

国史においては、嘉祥2年（849年）に「稲村神」が官社に認められ、特に水や旱魃に対する霊験が認められたことが記録されています。元慶2年（878年）には神階が従五位下に昇格し、仁和元年（885年）には従五位上に達しました。『延喜式』神名帳では、常陸国久慈郡に「稲村神社」と記載され、式内社に公式に名前が見られますが、「稲村神」という名称は他にも論社が存在します。

元禄4年（1691年）には、徳川光圀が神社を視察し、当時相応しく考えられていた天神七社の存在を尋ねて、この七つの塚を一社に統合するように提案しました。これにより、元禄6年（1693年）に現在地に社殿が建てられ、合祀されました。光圀はその際に「七代天神宮」との扁額を掲げ、神具を奉納しています。江戸時代には、社領として約6石5斗余、除地には約9石9斗3升を保有していました。

明治時代に入ると、式内社としての地位が再確認され、「七代天神宮」の名は稲村神社に改称です。また、近代社格制度の下でも郷社に位置づけられました。

神階の変遷

嘉祥2年（849年）4月7日: 官社に預かる
元慶2年（878年）8月23日: 従五位下に昇格
* 仁和元年（885年）5月22日: 従五位上に昇格

現地情報

所在地

稲村神社は、茨城県常陸太田市天神林町3228に位置しています。

周辺の見所

近隣には佐竹寺や梵天山古墳群があり、歴史散策が楽しめる地域です。

このように、稲村神社は古代からの信仰が息づく神社であり、多くの人々に親しまれています。

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