稲葉貞通

稲葉 貞通

稲葉貞通（いなば さだみち）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての日本の武将および大名であり、豊後国の臼杵藩の初代藩主としての地位を持っていました。彼の生涯は、戦国の動乱期における家族の流転と、数々の軍事的な出来事に彩られています。

生い立ちと家族

貞通は天文15年（1546年）に、生涯の中でも重要な役割を果たす父、稲葉良通（一鉄）の次男として誕生しました。彼の生まれ育った環境では、父との関係が特に深く、彼は美濃国の斎藤氏に仕官することから軍事的なキャリアをスタートさせました。最初の内戦が起きた際には、父と共に戦闘に臨むこととなります。

信長との関わり

永禄10年（1567年）、織田信長の侵攻に降伏した後、貞通は父と共に信長の命令に従い、各地で戦闘を繰り広げました。天正7年（1579年）には家督を譲られ、美濃の曽根城主としての地位を得ますが、信濃国の飯山城における一揆に巻き込まれ、窮地に立たされます。なんとか援軍が到着したことで、彼は難を逃れるものの、信長からの信頼を失い、飯山城代には別の家臣が置かれることになりました。

本能寺の変とその後

1582年の本能寺の変において、京都にいた貞通は信長の死を知るや否や、急いで本国へと逃げ帰りました。その後は、賤ヶ岳の戦いで羽柴秀吉に与しつつも、信長の息子である織田信孝に抵抗する迷いを抱えつつ、家督を長男に譲る決断を下しました。

九州征伐と家督復帰

天正15年（1587年）、九州征伐に参加した際、長男が秀吉の怒りを買って蟄居を余儀なくされたため、貞通は再び家督を継承します。翌年には郡上八幡城に移り、大規模な改修工事を行い、秀吉から羽柴の姓と豊臣の称号を受けることになります。

軍事的活動

天正18年（1590年）、貞通は小田原征伐において1200余の兵を率いて参加し、文禄の役では朝鮮半島へ渡るなど、力を尽くし続けました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは西軍に所属し、一時的に尾張国を守備した後、東軍に転向し、郡上八幡城を救助するために軍を出します。その後、名を馳せることとなる長島城の守備に回り、西軍の守城を攻略する功績をもたらしました。

臼杵藩主としての晩年

この戦における功績によって、彼は美濃国郡上藩から豊後国の臼杵藩に転封され、初代藩主となります。現実の権力を持つ藩主としての重責を全うする傍ら、彼は戦国の武士としての矜持をもって治世を行いました。

亡くなるまで

慶長8年（1603年）9月、57歳で世を去った貞通は、その生涯を通じて武士としての理想を追い求めた一人であり、彼の功績は後世に受け継がれています。家族の繋がりも深く、増子や後継者たちの存在も大きな意味を持つものとなりました。彼の歴史的な影響は、武将としてだけでなく、地域の発展にも寄与した結果として多くの人に記憶されています。

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