岩鼻県

岩鼻県について

岩鼻県は、1868年（慶応4年）に明治政府によって設置された県です。その管轄地域は、上野国（現在の群馬県）と武蔵国（現在の埼玉[[県]]）の一部にまたがっていました。この県は、江戸幕府の支配下にあった領地や、旗本が領有していた地域を管理するために設けられました。

設置の背景

岩鼻県が設置された背景には、明治維新という大きな社会変革がありました。江戸幕府が倒れ、新政府が成立する中で、旧幕府の支配下にあった領地をどのように管理するかが課題となりました。岩鼻県は、その一つとして、関東地方における旧幕府領や旗本領を管轄するために設けられました。

具体的には、江戸幕府の関東在方掛（旧関東郡代）が常駐していた岩鼻陣屋を新政府が接収し、この陣屋を拠点として県が設置されました。この時、上野国と武蔵国の一部の幕府領、旗本領が岩鼻県の管轄となりました。ただし、上野国の一部は前橋[[藩]]や館林藩に移管された地域もありました。

管轄地域の変遷

岩鼻県の管轄地域は、設置当初から変動がありました。1869年（明治2年）には、廃藩を申し出た吉井[[藩]]の領地が岩鼻県に編入されました。これにより、岩鼻県の管轄地域はさらに拡大しました。

しかし、岩鼻県は短命に終わりました。1871年（明治4年）に廃[[藩置県]]が行われ、第一次府県統合が行われた際、上野国内の8県が統合され群馬県が成立しました。これに伴い、岩鼻県は廃止されました。

その後、旧岩鼻県の武蔵国内の地域は、一時的に群馬県の管轄となりましたが、同年中に埼玉[[県]]に入間[[県]]として編入されることになりました。

管轄地域詳細

岩鼻県の管轄地域は複雑で、その変遷を正確に把握することは難しいです。当時の資料である「旧高旧領取調帳」には、武蔵国の幕府領と旧吉井[[藩]]領の代官名が記されているのみで、その詳細な区分は判別できません。また、岩鼻代官所から前橋[[藩]]や館林藩に移管された地域もあり、その変遷は錯綜しています。

以下に、管轄地域の一部を郡ごとにまとめました。

武蔵国

男衾郡: 28村（幕府領22村、旗本領10村）
榛沢郡: 64村（幕府領25村、旗本領58村など）
児玉郡: 57村（幕府領8村、旗本領55村など）
那賀郡: 11村（幕府領2村、旗本領10村）
賀美郡: 25村（幕府領9村、旗本領25村）
幡羅郡: 52村（幕府領12村、旗本領46村）
埼玉郡: 4村（幕府領4村、旗本領1村）
高麗郡: 6村（幕府領2村、一橋徳川家領4村）
秩父郡: 59村（幕府領24村、旗本領35村など）
横見郡: 22村（幕府領14村、旗本領16村）

上野国

吾妻郡: 89村（岩鼻代官所41村、旗本領48村）
山田郡: 49村（岩鼻代官所28村、旗本領23村など）
緑野郡: 44村（岩鼻代官所44村、旗本領2村）
多胡郡: 25村（岩鼻代官所）
新田郡: 89村（岩鼻代官所61村、旗本領26村）
佐位郡: 21村（岩鼻代官所14村、旗本領4村など）
那波郡: 19村（岩鼻代官所7村、旗本領14村）
利根郡: 68村（岩鼻代官所17村、旗本領51村）
碓氷郡: 28村（岩鼻代官所27村、旗本領1村）
甘楽郡: 85村（岩鼻代官所）
勢多郡: 13村（岩鼻代官所12村、寺社領1村）
群馬郡: 19村（岩鼻代官所17村、旗本領1村、吉井[[藩]]領2村）

歴代知事

岩鼻県の知事は、以下の通りです。

1. 大音龍太郎 (1868年6月17日 - 1868年12月7日) : 知県事
2. 小室彰 (1868年12月7日 - 1870年5月22日) : 知事、権知事
3. 中島錫胤 (1870年9月2日 - 1871年1月11日) : 知事
4. 青山貞 (1871年1月15日 - 1871年10月28日) : 知事

岩鼻県は、わずか3年余りの短期間で廃止されましたが、明治初期の地方行政の変革を象徴する存在として、歴史にその名を刻んでいます。

参考文献

「旧高旧領取調帳」

関連項目

代官
群馬県
埼玉[[県]]

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