竹中重利

竹中 重利

安土桃山時代から江戸時代初期を生きた武将、そして大名が竹中重利（たけなか しげとし）です。諱（いみな）は重信、重義、隆重、重隆とも伝わっています。豊後国荷揚城（現在の府内城）の城主を務め、のちに府内藩の初代藩主としてその治世を確立しました。

永禄5年（1562年）にこの世に生を受けた重利の出自については、いくつかの説があります。『寛政重修諸家譜』によれば父は竹中重光（竹中重元の弟）とされていますが、他の系図では竹中重広（与右衛門、竹中重元の子）の子として、重元の孫であるとするものも見られます。いずれにせよ、美濃の戦国武将として名高い竹中重治（半兵衛）とは、従弟または甥にあたる関係です。さらに、重利の正室は重治の妹であったため、彼は同時に重治の義弟という立場でもあり、時には「弟」と表記されることもありました。

竹中重治が存命中は、彼の知行地の一部である美濃国長松城にて3,000石を分け与えられていましたが、天正7年（1579年）に重治が病没すると、羽柴秀吉の直臣として直接その配下に組み入れられます。

秀吉に仕えてからは、様々な任務をこなしました。天正18年（1590年）には、森忠政の家臣と共に美濃国の恵那郡と土岐郡において検地を実施しています。同年に行われた小田原征伐にも、馬廻組頭（うままわりくみがしら）として参陣し、その武功を挙げました。

文禄3年（1594年）、重利は豊後国国東郡高田にて1万3,000石を与えられ、ここに大名としての地位を確立します。豊臣秀吉による二度にわたる朝鮮出兵、文禄の役および慶長の役には、いずれも従軍しました。特に慶長の役においては、先鋒を務める部隊を監察する軍目付（いくさめつけ）6名のうちの一人に選ばれるなど、軍事的な要職を任されています。この頃、朝廷から従五位下伊豆守に叙任されました。

慶長3年（1598年）、太閤秀吉がこの世を去ると、その遺品として義光（よしみつ）の銘刀を受領しました。これは、秀吉からの重利に対する厚い信頼を示唆する出来事と言えるでしょう。

慶長5年（1600年）、天下分け目の関ヶ原の戦いが勃発します。当初、重利は西軍の石田三成方につき、大坂の久法寺町橋や近江の瀬田橋といった要衝の警備を担当しました。また、丹後田辺城攻めにも兵を送るなど、西軍の一員として行動していましたが、情勢の変化を見る中で、黒田如水（長政の父）の説得を受けて東軍への転向を決断します。この転向が認められ、戦後も所領を安堵されました。

関ヶ原の戦いの後、徳川家康によって豊後国府内2万石への加増転封が命じられ、荷揚城（現在の大分城）を与えられました。府内に入った重利は、城郭の大規模な改修に着手し、今日見られる城郭の骨格を築き上げました。また、港湾の整備や城下町の区画整理などにも積極的に取り組み、今日の豊後水道に面した大分市が発展するための基礎を確立しました。彼の治世は、府内藩の安定と発展に大きく貢献したのです。

武将、大名として活躍する傍ら、重利は茶の湯にも深い造詣を持っていました。茶人としても名高い古田織部の門下生の一人として、茶道の研鑽を積んだと伝えられています。

元和元年（1615年）10月16日、重利は54年の生涯を閉じました。その跡は、長男である竹中重義（しげよし）が継ぎ、府内藩の二代藩主となりました。

系譜

父: 竹中重光 または 竹中重広
母: 不詳
正室: 竹中重元の娘
長男: 竹中重義（?-1634）
生母不明の子女: 男子 竹中重信

参考文献

高柳光寿、松平年一 共著 『戦国人名辞典』 吉川弘文館、1981年

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