第27師団 (日本軍)

第27師団

第27師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つで、日中戦争の激化に伴い編成されました。その前身は支那駐屯軍の直轄部隊であり、幾多の変遷を経て師団としての形を整えました。以下に、その詳細な歴史、編成、作戦行動、そして人事について解説します。

沿革

1937年7月7日の盧溝橋事件を契機に、支那駐屯軍は大幅な改編を余儀なくされました。朝鮮からの1個師団、関東軍からの2個混成旅団、そして内地からの3個師団を隷下に加えた上で、同年8月31日に第1軍として再編成され、支那駐屯軍は廃止されました。この際、支那駐屯軍の直轄部隊は、支那駐屯混成旅団として再編され、その後、支那駐屯兵団と改称されました。この兵団が、後に第27師団の中核となるのです。

1938年6月21日、支那駐屯兵団を基幹として第27師団の編成が下令されました。同年7月4日には第11軍戦闘序列に編入され、7月25日には武漢作戦に投入されました。武漢作戦では、揚子江の南岸を遡上し、11月9日に通城を占領しました。作戦終了後は、旧支那駐屯軍の衛戍地であった天津に戻り、華北方面の警備を担当しました。1939年9月からは、新設された支那派遣軍戦闘序列に編入され、直轄師団となりました。

1943年6月17日、関東軍編組に編入され満州へ移動、司令部を錦州に設置し駐屯しました。しかし、1944年の大陸打通作戦への参加命令により、2月1日に再び第11軍戦闘序列に編入され、3月17日に錦州を出発しました。北支那方面軍の指揮下で4月16日に作戦を開始し、第12軍の覇王城陣地攻撃に呼応して、洛陽対岸の懐慶・清化鎮付近に展開し、洛陽への直接攻撃を偽装する欺瞞作戦を展開しました。その後、黄河北岸を下り、4月24日夜には覇王城正面の黄河鉄橋を渡河。5月7日には遂平に到達し、独立歩兵第11旅団（宮下兵団）と連携して京漢陸路の第一段階打通に成功しました。

打通成功後、北進してきた第11軍部隊と合流し、湘桂作戦に参加。第11軍が広西省方面に進攻した後、第20軍隷下となり湖南省茶陵に在りました。遂贛作戦では、1945年1月30日に江西省の遂川飛行場を占領しました。その後、贛州からさらに南下し、華南・広東に移動、第23軍戦闘序列に編入されました。連合軍の中国南部上陸に備え恵州付近に展開しましたが、戦局の変化により、1945年4月18日に再度支那派遣軍直轄師団となり、広東から上海方面へ移動中に南昌で終戦を迎えました。終戦後は無錫に駐屯し、上海経由で佐世保から復員しました。

司令部人事

歴代司令官

支那駐屯混成旅団長
山下奉文 少将：1937年8月26日 - 1937年11月1日
山下奉文 中将：1937年11月1日 - 1938年3月12日
支那駐屯兵団長
山下奉文 中将：1938年3月12日 - 1938年7月15日
第27師団長
本間雅晴 中将：1938年7月15日 - 1940年12月2日
冨永信政 中将：1940年12月2日 - 1942年3月2日
原田熊吉 中将：1942年3月2日 - 1942年11月9日
竹下義晴 中将：1942年11月9日 - 1944年5月30日
落合甚九郎 少将（心得）：1944年5月30日 - 1944年6月27日
落合甚九郎 中将：1944年6月27日 - 終戦

歴代参謀長

原田義和 歩兵大佐：1938年7月15日 - 1939年8月1日
太田公秀 歩兵中佐：1939年8月1日 - 1940年10月22日
関根久太郎 大佐：1940年10月22日 - 1944年8月3日
一色正雄 大佐：1944年8月3日 - 終戦

歴代兵器部長

嶋田乙彦 中佐：1941年8月1日 - 1943年8月2日
蚊野豊次 中佐：1943年8月2日 - 1945年5月25日
山崎清吾 中佐：1945年5月25日 -

歴代経理部長

原田佐次郎 主計中佐：1938年7月15日 - 1939年8月1日
秋田銀一 主計中佐：1939年8月1日 - 1940年12月2日
西山霜次郎 主計中佐：1940年12月2日 - 1941年11月6日
岡屋正治 主計大佐：1941年11月6日 -

歴代軍医部長

後藤鐐枝 軍医大佐：1938年7月15日 - 1940年8月1日
新田太郎 軍医大佐：1940年8月1日 - 1942年8月1日
大坪美登 軍医大佐：1942年8月1日 -

歴代獣医部長

清水岩参郎 獣医中佐：1941年3月1日 - 1943年4月2日
川田京二 獣医少佐：1943年4月2日 -

隷下部隊

支那駐屯兵団の編成と1938年当時の編制（括弧内は衛戍地）、最終所属部隊の括弧内は補充地を示します。

部隊歌

第二十七師団の歌

（一番のみ）

作詞・作曲：不詳

北支の天地 京津の
山河に刻む 四十年
駐屯軍の 名は薫る
勇士幾千 紅の
血に彩りし 伝統と
矜持を受けて 生まれたる
わが兵団 わが兵団
わが兵団は 天下の精鋭

脚注

注釈

出典

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧
支那駐屯歩兵連隊

外部リンク

* 第27師団（極） アジ歴グロッサリー - アジア歴史資料センター

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