第3軍団キュレナイカ

第3軍団キレナイカ（Legio III Cyrenaica）は、古代ローマ軍の精鋭部隊の一つです。創設者に関する明確な記録は残っていませんが、歴史家たちはマルクス・アントニウスが紀元前36年頃、キュレナイカ総督を務めていた時期に創設したと推測しています。

ユリウス＝クラウディウス朝時代

第3軍団キレナイカが歴史に登場するのは、アウグストゥス帝がプトレマイオス朝を滅ぼし、エジプトをローマ帝国の属州とした頃です。当時、彼らは第22軍団デイオタリアナと共にアレクサンドリアに駐屯し、共同で野営地を管理していました。紀元前22年には、ヌミディア王国との戦いに参加。また、第22軍団の記録によれば、63年にはアルメニアの内政問題に端を発したパルティアとの戦いにも従軍しています。

フラウィウス朝、五賢帝時代

69年、ネロ帝の自殺によりユリウス＝クラウディウス朝が終焉を迎えると、ローマ帝国は内乱状態に陥ります。この混乱期に、第3軍団キレナイカはティトゥスの指揮下に入り、ユダヤ戦争に参加しました。フラウィウス朝の時代には記録が途絶えますが、五賢帝の一人であるハドリアヌス帝の治世、132年にユダヤ属州でバル・コクバの乱が発生すると、鎮圧のために再び戦場へ赴きました。マルクス・アウレリウス・アントニヌス帝の時代には、共同皇帝ルキウス・ウェルスと共にパルティアへの侵攻作戦に参加しています。

セウェルス朝以降

五賢帝時代の後、コンモドゥス帝、そしてペルティナクス帝の死後、193年に内乱が勃発すると、第3軍団キレナイカはクロディウス・アルビヌスを支持しました。しかし、セプティミウス・セウェルスが皇帝の座を掴み、セウェルス朝が開かれると、次世代の皇帝となるカラカラの指揮下で再びパルティアへの侵攻作戦に参加します。軍人皇帝時代には、アウレリアヌス帝の治世下で、ローマ帝国の混乱に乗じて独立を宣言したゼノビア率いるパルミラ帝国の鎮圧に貢献しました。しかし、それ以降の第3軍団キレナイカに関する詳細な軍事活動の記録はほとんど残っていません。ただ、5世紀までシリア属州に駐屯していたことは分かっています。

第3軍団キレナイカは、ローマ帝国の興亡の歴史の中で、数々の重要な戦いに参加し、その名を刻みました。その勇敢な戦いぶりは、後世に語り継がれています。

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