第4特科群

第4特科群の概要



第4特科群は、陸上自衛隊の第1特科団隷下の部隊として、北海道空知郡上富良野町上富良野駐屯地に駐屯していました。この部隊は、通常の師団や旅団の特科部隊が運用する榴弾砲よりも、さらに強力な火力と長射程を誇る203mm自走榴弾砲や多連装ロケットシステムなどを装備する重砲部隊でした。

1956年に新編されて以来、最大で4個大隊を擁していましたが、時代の変化とともに部隊の廃止や装備の変更を経験しました。当初は北方重視の体制でしたが、後に西方重視へと転換し、さらに重砲から長距離射程ミサイルへと装備の重点が移る中で、2024年3月20日にその歴史に幕を閉じました。

群長は上富良野駐屯地司令を兼務し、駐屯する部隊を指揮して富良野市、上富良野町を含む1市4町1村の警備を担当していました。

第4特科群の沿革



1956年1月15日:第4特科群本部および本部中隊、第117特科大隊が東千歳駐屯地で編成完結。第105特科大隊(東千歳駐屯地)、第113特科大隊(札幌駐屯地)を隷下に編入。
1958年6月17日:第120特科大隊が東千歳駐屯地で編成され、隷下に編入。
1959年8月20日:第113特科大隊が札幌駐屯地から真駒内駐屯地に移駐。
1961年2月28日:第113特科大隊(真駒内駐屯地)が廃止。
1961年12月4日:第1特科群第104特科大隊が北千歳駐屯地から上富良野駐屯地に移駐し、隷下に編入。
1962年3月1日:第4特科群本部および本部中隊が東千歳駐屯地から上富良野駐屯地に移駐。
1962年3月6日:第117特科大隊が東千歳駐屯地から上富良野駐屯地に移駐。
1962年3月13日:第120特科大隊が東千歳駐屯地から上富良野駐屯地に移駐。
1962年7月10日:第105特科大隊が東千歳駐屯地から美幌駐屯地に移駐。
1969年3月25日:第105特科大隊(美幌駐屯地)が廃止。
1979年3月26日:第117特科大隊の装備が74式自走105mm榴弾砲に換装。
1984年3月26日:第301多連装ロケット中隊(75式130mm自走多連装ロケット弾発射機装備)が上富良野駐屯地に新編され、隷下に編入。
1985年3月20日:第120特科大隊の装備が203mm自走榴弾砲に換装。
1988年3月25日:第104特科大隊の装備が203mm自走榴弾砲に換装。
1995年3月20日:第301多連装ロケット中隊(上富良野駐屯地)が廃止。
2000年3月27日:第117特科大隊(上富良野駐屯地)が廃止。
2000年3月28日:部隊新編等。第131特科大隊(多連装ロケットシステム装備)を上富良野駐屯地に新編。後方支援体制変換に伴い、整備部門を北部方面後方支援隊第101特科直接支援大隊第2直接支援中隊へ移管。
2017年3月26日:第120特科大隊(上富良野駐屯地:203mm自走榴弾砲装備)が廃止。
2024年3月20日:第4特科群廃止。第104特科大隊(上富良野駐屯地)を廃止。第131特科大隊を第4特科群から第1特科群隷下に編成替え。国内で運用される203mm自走榴弾砲が全て退役。上富良野駐屯地司令職を第2戦車連隊長に移譲。

警備隊区



上富良野警備隊区担当部隊長:第4特科群長

第104特科大隊:富良野市
第131特科大隊:南富良野町、占冠村
第2戦車連隊上富良野町
第3地対艦ミサイル連隊:中富良野町
第14施設群:美瑛町

廃止時の部隊編成



第4特科群本部
第4特科群本部中隊「4特群-本」
第104特科大隊
第104特科大隊本部
本部管理中隊「104特-本」
第1射撃中隊「104特-1」:203mm自走榴弾砲、87式砲側弾薬車
第2射撃中隊「104特-2」:203mm自走榴弾砲、87式砲側弾薬車
第3射撃中隊「104特-3」:203mm自走榴弾砲、87式砲側弾薬車
第131特科大隊
第131特科大隊本部
本部管理中隊「131特-本」
第1射撃中隊「131特-1」:多連装ロケットシステム
第2射撃中隊「131特-2」:多連装ロケットシステム
第3射撃中隊「131特-3」:多連装ロケットシステム
整備支援部隊
北部方面後方支援隊第101特科直接支援大隊第2直接支援中隊「101特直支-2」(上富良野駐屯地):2000年3月28日から2024年3月20日まで

主要装備



203mm自走榴弾砲
87式砲側弾薬車
多連装ロケットシステムMLRS
82式指揮通信車
1/2tトラック / 73式小型トラック
1 1/2tトラック / 73式中型トラック
3 1/2tトラック / 73式大型トラック
89式5.56mm小銃

過去の装備品



74式自走105mm榴弾砲
75式130mm自走多連装ロケット弾発射機

廃止部隊



第113特科大隊「113特」:1961年2月28日廃止。
第105特科大隊「105特」:1954年7月1日新編。1969年3月25日廃止。
第301多連装ロケット中隊「301多」:1984年3月26日新編。1995年3月20日廃止。
第117特科大隊「117特」:1956年1月15日新編。2000年3月28日廃止
第120特科大隊「120特」:1958年6月17日新編。2017年3月26日廃止。

脚注



[出典]:

北部方面隊50年のあゆみ:歩みつづけるつわものたちのきらめく記憶』(山藤印刷株式会社/編集,陸上自衛隊北部方面総監部/監修 2003)
『日本砲兵史:自衛隊砲兵過去現在未来』(陸上自衛隊富士学校特科会 編 1980.6)
“防衛省人事発令”. 2014年3月23日閲覧。


関連項目



富士学校 / 富士教導団 / 特科教導隊
第1特科団 / 第1特科
第1地対艦ミサイル連隊 / 第2地対艦ミサイル連隊 / 第3地対艦ミサイル連隊
地対艦ミサイル連隊 / 独立特科大隊

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。