第5師団 (日本軍)

第5師団の概要

第5師団は、大日本帝国陸軍の重要な師団の一つであり、1873年に設置された広島鎮台を母体に、1888年に編成されました。主に広島を基地として、日清戦争から太平洋戦争にかけて、日本が関与した多くの戦役に参加し、その歴史には名誉ある戦果を多数挙げています。

戦歴のハイライト

日清戦争

1894年の日清戦争では、少将の大島義昌が指揮する大島旅団を編成し、戦争の早期に清国軍との接触を果たしました。成歓の戦いでは、わずか1日で勝利を収め、これは明治維新以降日本が外国軍と戦った初の戦闘となりました。その後も平壌攻略戦や牛荘の戦いに参加し、戦争は1895年の下関条約の締結によって終息しました。

義和団の乱

1900年に発生した義和団の乱では、義和団鎮圧に向けて出動し、八カ国連合軍の中核として天津および北京に進出しました。この際、北倉の戦いを単独で勝利するなど、その勇敢さが際立ちました。

日露戦争

日露戦争では、第4軍に属し、沙河会戦や奉天会戦に参加しました。1911年からの2年間は満洲に駐留、その後師団司令部は広島へ戻ります。

シベリア出兵

1919年にはシベリア出兵にも参加し、1922年6月には任務を終了しました。

日中戦争

1937年の日中戦争が勃発すると、第5師団は華北に出動し、チャハル作戦や北支那方面軍直轄となった後の太原攻略戦に参戦します。その中で、第21連隊は平型関で壊滅的な損害を受けました。

太平洋戦争

太平洋戦争の開戦前には、大本営直轄の精鋭部隊と評価され、マレーでの作戦に備えて編成変更が行われました。1941年には南方軍に編入され、マレー作戦での英軍と激しい戦闘を繰り広げます。特にシンガポール攻略戦では大きな役割を果たしました。

戦後の経過

戦争の終息に近づくと、第5師団は地上戦に参加する機会が減少し、島嶼防衛のための組織に移行しつつありました。最終的にはセラム島で終戦を迎え、その直後に発覚した戦争犯罪「橘丸事件」により、多くの兵士がアメリカ軍の捕虜となりました。師団長の山田清一中将は、敗戦の知らせを受けて自ら命を絶つなど、激動の歴史を物語っています。

歴代指導者

第5師団を指導した歴代の師団長や参謀長は、戦局の変化に応じて多様な役割を果たしてきました。指揮官たちのリーダーシップと戦闘戦略は、師団の戦歴に大きな影響を及ぼしました。

このように、第5師団は大日本帝国陸軍における一つの象徴であり、その戦歴は日本の近代史に深い影響を与えるものです。

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