第51師団 (日本軍)

第51師団：激戦を生き抜いた帝国陸軍の精鋭

1940年7月10日、大日本帝国陸軍は、茨城県、栃木県、群馬県の三県を徴兵区とする常設師団として第51師団を編成しました。留守第14師団を基幹に、栃木県宇都宮市に司令部が置かれました。この師団の設立は、それまで満州に駐屯していた8個師団の補充という背景がありました。同年8月、常設師団の満州永久駐屯に伴い、第51師団を含む6個師団が新たに編成されたのです。

第51師団の管轄区域は「宇都宮師管」と呼ばれ、編成当初は東部軍に所属。宇都宮に駐屯していましたが、1941年7月には関東軍特種演習に参加するため満州へ派遣されます。これに伴い、宇都宮師管の管区業務は留守第51師団が引き継ぎました。同年9月、第51師団は華南に進出し、第23軍に編入。歩兵第66連隊を基幹とする部隊が、12月の香港攻略戦に参加しました。その後も第23軍隷下で広東に駐屯していましたが、1942年10月20日、第17軍の戦闘序列に編入され、南東方面へと転進。さらに11月16日には新設の第18軍に移り、ニューギニア戦線へと投入され、ラバウルに進出しました。

1943年1月2日、ポートモレスビー作戦で東部ニューギニアのブナにおいて、第8方面軍傘下の部隊が壊滅的な損害を受けました。そのため、第51師団は連合国軍の次の目標地となるであろうラエの防衛を命じられ、2月28日、ラバウルを出航（八十一号作戦）。しかし、3月2日と3日、ダンピール海峡において連合軍の激しい空襲を受け、輸送船8隻と駆逐艦4隻が撃沈されるという悲惨な結果に終わりました（ダンピールの悲劇）。

生き残った兵士の一部は、小規模な船舶や駆逐艦で上陸に成功。しかし、ラエ・サラモアの戦いで敗北を喫し、サラワケット山脈を越える危険な撤退を強いられました。その後も連合軍の飛び石作戦に翻弄され、飢餓との戦いも強いられるなど、過酷な状況が続きました。

出撃時の兵員は約16,000名でしたが、1945年のアイタペの戦い後には2,754名にまで激減。壊滅的な打撃を受けながらも、奇跡的に全滅は免れ、終戦まで存続しました。体面上は任務を完遂したと言えるでしょう。

師団概要

第51師団は、激動の時代を象徴する部隊でした。満州からニューギニアまで、各地を転戦し、数々の戦闘に参加。その過程で多大な犠牲を払いながらも、最後まで戦い抜いたその歴史は、特筆に値すると言えるでしょう。 その過程で、多くの将兵が命を落としました。彼等の犠牲の上に、日本の歴史の一端が刻まれています。

歴代師団長及び主要参謀

上野勘一郎 中将 (1940年9月1日 - 1941年7月1日)
李王垠 中将 (1941年7月1日 - 1941年11月16日)
中野英光 中将 (1941年11月16日 - 終戦)

渡辺勝 大佐 (1940年9月1日 - 1941年7月15日)
大橋熊雄 大佐 (1941年7月15日 - 1942年4月17日)
本郷忠夫 大佐 (1942年4月17日 - 1943年7月3日 戦死)
青津喜久太郎 大佐 (1943年7月5日 - 1944年9月9日)
荒木勝利 大佐 (1944年9月9日 - 終戦)

最終所属部隊

第51師団は、歩兵連隊3個、捜索連隊1個、野砲兵連隊1個、工兵連隊1個、輜重兵連隊1個、その他支援部隊で構成されていました。これらの部隊は、激戦の中で大きな損害を受けながらも、最後まで戦い抜きました。

第51師団の軌跡は、太平洋戦争の激しさと、そこに身を投じた兵士たちの苦悩と勇気を物語っています。彼らの犠牲を忘れることなく、平和な未来を築いていくことが重要です。

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