笮融

笮融（さく ゆう）について

笮融は中国後漢時代末期に活躍した武将で、何時から何時まで生きたのかは正確には不明ですが、彼の活動は主に194年から197年にかけて見られました。生まれは揚州丹陽郡で、最初は徐州の陶謙に仕官しました。彼はそこで兵糧の輸送を監督する役割を担い、徐州の安定に寄与していました。しかし、彼の行動は次第に自立の道へと向かいます。

仏教の影響と広陵の略奪

笮融の行動の一つとして、仏教の振興が挙げられます。彼は広陵や彭城に壮大な伽藍を建立し、3,000人を収容できる施設を持つほどに発展させました。毎年4月8日には仏誕の法会を盛大に行い、これに訪れる人々は5,000人に達したとも言われています。彼のこの活動は後の中国における仏教の発展に大きな影響を与えたとされていますが、同時に彼は広陵の豊かな土地を狙って、持ち歌である趙昱を謀殺し、その後は略奪を繰り返しました。これにより彼は仏教の功労者として名が挙げられながらも、裏では非道な行為を行っていたことが彼の人物像に複雑さを加えます。

孫策との戦闘とその結果

興平1年（194年）に、陶謙が曹操に攻められて徐州が混乱に見舞われると、笮融は彭城国の相であった薛礼と共に新たな政権を立ち上げます。彼は劉繇を盟主として仰ぎましたが、その後の戦闘では孫策と対峙することになります。劉繇が孫策に攻撃を受けた際、笮融は薛礼とともに援軍として彼の元へ向かいました。戦闘の最中に、笮融は一時孫策に重傷を負わせたものの、彼が誤った情報を信じたために戦は敗北に終わってしまいます。この敗北は劉繇の軍全体にも波及し、結果として笮融は逃亡を余儀なくされました。

自立の野心と逃亡の果て

逃亡した笮融は彭沢に駐屯し、劉繇の命を受けて朱皓の救援に向かいます。彼は建安2年（197年）に諸葛玄を戦で打ち倒しましたが、その後の彼の行動は、裏切りと野心が絡み合うものとなっていきます。朱皓や盟友の薛礼をも殺害し、豫章の支配権を掌握しました。しかし、この行動が彼の運命を狂わせることになり、劉繇の軍との激闘の末に敗北し、付近に住む人々に捕らえられて命を落としてしまうのです。

文学における笮融の描かれ方

小説『三国志演義》中では、笮融は劉繇の部将として描かれており、歴史の中での暴虐な振る舞いは描かれていません。逆に彼は、劉繇の部下を弁護する一面を見せ、逃避する際には劉表を頼る姿まで描かれています。彼の最後は、虚構の世界でも不完全なままであり、以後の物語では姿を消しています。

評価

笮融については、南宋の志磐が『仏祖統紀』の中で言及しています。彼は仏教者としての善行を求めましたが、彼の歴史的な評価は弟子たちからは非難されるものでした。暴虐な行為を行いながら仏教の発展に寄与した彼の矛盾した姿は、信仰を持つ者の恥さらしとされました。

もう一度検索