築地町 (高松市)

高松市築地町

高松市中心部の都心エリアに位置する築地町（つきじちょう）は、郵便番号760-0061を持つ町丁です。高松市役所からは約0.9kmの距離にあり、住居表示に関する法律に基づく住居表示は実施されていません。

地理的特徴

築地町は、北は美術館通りの延長線上に位置する市道二番町築地線、東は杣場川、南は国道11号、そして西はことでん志度線の線路敷および塩屋町の県道160号高松港栗林公園線に面する建物の裏手に囲まれた、概ね正方形に近い形状をしています。

町内は多様な土地利用が見られ、事務所、工場、住宅が混在しています。特に南側の国道11号沿いには、かつて小学校があった跡地や比較的高層のマンションが立地しています。市道二番町築地線や市道東浜港多賀線沿いには、商店や事務所が入居するビルが見られます。一方、東側の杣場川沿いには町工場が集まる傾向があります。これらの外郭部に対し、町の中央部は戸建て住宅が並ぶ落ち着いた住環境が広がっています。また、町域内には6つの寺院があり、その敷地が町の面積のかなりの部分を占めています。町内に直接鉄道駅はありませんが、町の東側の境に近い場所にことでん志度線の今橋駅があります。

人口と社会基盤

2020年の国勢調査によると、築地町の人口は654人（男性317人、女性337人）で、世帯数は399世帯です。面積は約8万3000平方メートル（82,993.806m²）、人口密度は1平方キロメートルあたり約7880人（7880.11人/km²）となっています。

教育面では、公立の小学校・中学校の校区は、全域が高松市立高松第一小学校・中学校（小中一貫校）に指定されています。

都市計画法に基づく用途地域としては、市道東浜楠上町線より東側が近隣商業地域（容積率300%、建ぺい率80%）に指定されています。それより西側は、国道11号沿いが容積率500%の商業地域、それ以外の大部分が容積率400%の商業地域となっています。

歴史の歩み

築地町の歴史は古く、江戸時代の元文5年（1740年頃）の高松城下絵図には、現在の杣場川沿いの地域が「築地」として記されています。当時はこの一帯が香川郡東浜村の一部でした。天保元年（1830年）に高松城下町の正式な一町となり、政要録には「天保元寅年二月、築地を改めて築地町とす」との記録があります。当初は建物が少なく、寺院や丸池、そして低湿地や田畑が点在する場所でした。

明治時代には、短期間ながら旧築地小学校が創立・廃止・再設立されましたが、まもなく廃校となりました。1878年（明治11年）には、築地町外七ヵ町の戸長役場が設置され、地域の行政拠点となりました。1890年（明治23年）に高松市が誕生すると、築地町はその一部となりました。明治後期にはキリスト教の伝道所が開設され、大正時代には「異人屋敷」と呼ばれる建物もあったと伝えられています。

大正時代に入ると、1909年（明治42年）には香川郡東浜村大字東浜塩上（現在の築地町の一部）に高松市立築地尋常小学校が開校しました。この頃は、市内で最初の野球チームが結成されたり、市内唯一の青年訓練所が設置されたりするなど、地域活動も活発でした。昭和初期には力士の土俵開きも行われました。

1916年（大正5年）には、高野山東之坊が高野山讃岐別院として当地に移され、四国八十八箇所番外札所として多くの信仰を集めました。これにより、別院の周辺にはお遍路用品店が軒を連ね、札所寺の門前町のような賑わいを見せました。大正から昭和初期にかけては高松の工業化が進み、築地町付近にも多くの企業や工場が立地し、杣場川では小型船が頻繁に行き交い、荷揚げ・荷積みの光景が見られました。この水運の光景は、戦後の杣場川の暗渠化まで続きました。

しかし、1945年（昭和20年）7月4日未明の高松空襲により、築地町はその町域の96%を焼失するという壊滅的な被害を受けました。町内の主要な寺院も多くがこの時に失われました。

戦後、高松市中心部では戦災復興土地区画整理事業が進められ、築地町もその対象となりました。区画整理によって町内の多くの街路が拡幅・改良され、町の姿は大きく変わりました。1964年（昭和39年）の区画整理事業の完工に伴う地番整理では、一部が末広町に編入される一方、塩上町の一部が編入され、町域が再編成されました。この地番整理により、かつて塩上町にあった高松市立築地小学校（1909年開校）の住所も築地町となりました。また、空襲後に新塩屋町小学校区へ移管されていた校区も、復興の進展により1955年（昭和30年）には再び築地小学校区に戻っています。

昭和後期から平成にかけては、1990年（平成2年）に暗渠化された杣場川の上部に杣場川緑道が整備され、市民の憩いの場となりました。また、2010年の築地小学校閉校後、その跡地には高松市築地コミュニティセンターが設置され、地域の交流拠点として活用されています。

主な施設

町内には、歴史ある寺院（萬行寺、慧信寺、一成院、妙朝寺、大本寺、高野山讃岐別院、深妙寺など）が多く点在します。また、築地レジデンス、アルファライフ築地、ダイアパレス築地などのマンションや、企業（高松溶材社、アムロン本社ビル、ジャトー四国営業所など）、金融機関（高知銀行高松支店）、商業施設（ミニストップ高松築地町店）、そして前述の高松市杣場川緑道や高松市築地コミュニティセンターなど、多様な施設が存在しています。

築地町は、城下町の一部として始まり、水運や工業で栄え、戦災からの復興と区画整理を経て、現代では多様な機能を持つ高松市中心部の重要な一角を占めています。

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