篠原とおる

篠原とおるは、1936年4月28日、愛媛県新居浜市に生まれました。愛媛県立新居浜工業高校を卒業後、大阪の自動車部品工場に就職しますが、10ヶ月で退社。その後、マンガ芸術院で通信教育を受けながら漫画家を目指し、雑誌に投稿を始めました。

1958年、『覆面博士』で漫画家デビュー。1962年には、影丸穣也、さいとう・たかを、佐藤まさあき、辰巳ヨシヒロ、水島新司らが所属していた大阪の日の丸文庫で執筆活動を開始。1960年代後半からは、『女豹マコ』や『人間昆虫記』、『ズベ公探偵ラン』など、女性を主人公にした作品を多く描くようになりました。

1970年、小学館の『ビッグコミック』に連載を開始した『さそり』は、女囚を主人公にしたサスペンス・アクションで、篠原の代表作となりました。1972年には東映で映画化され、シリーズ化されるほどの大ヒットを記録。この成功により、篠原はピンキーバイオレンス映画の原作者としても知られるようになりました。その他にも、『0課の女』や『ワニ分署』など、多くの作品が映画化され、人気を博しました。

篠原の作風は、ヒロイン・アクション劇画の第一人者、パイオニアとして評価されています。強く賢明な女性主人公を描く一方で、男性は悪人や無能者、または少し抜けたところがある協力者として描かれるのが特徴です。初期の作品には怨念が強調されたピンキーバイオレンスの傾向がありましたが、1979年の『夜光虫』の連載打ち切り事件を機に、明るいお色気と娯楽色が前面に出るようになりました。映像化された作品は多数ありますが、アニメ化された作品は一本もありません。

主な作品として、『さそり』、『にっぽん競馬伝』、『ワニ分署』、『河内残侠伝 軍鶏』などがあります。映画化、舞台化された作品も多く、『さそり』シリーズは特に有名で、劇場公開作品としては、『女囚701号 さそり』、『女囚さそり 第41雑居房』、『女囚さそり けもの部屋』などがあります。Vシネマ化された作品も多く、その人気は衰えることがありません。

1973年には『ビッグコミックオリジナル』の創刊時から主力作家として活躍しましたが、1979年に『夜光虫』での殺人描写が問題となり、連載が打ち切りになりました。その後は、リイド社を中心に活動し、『夕刊フジ』で『女仕置人ゼブラ』を連載。1990年代以降は、過去のピンキーバイオレンス系作品のリメイクやVシネマ化が多く行われました。

篠原とおるは、その独特な世界観と、強い女性を描いた作品で、多くのファンを魅了し続けています。

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