篠崎靖男

篠崎 靖男（しのざき やすお）

篠崎 靖男は、1968年2月19日に京都府京都市で生まれ、滋賀県大津市で育った日本の指揮者です。2022年7月時点では川崎市に在住しています。

経歴

桐朋学園大学で指揮を山本七雄、飯守泰次郎の両氏に、声楽を木村俊光氏に師事しました。同研究科を修了後、モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』でオペラ指揮者としてのキャリアをスタートさせます。1993年にはアントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで最高位に輝き、その後の研鑽に弾みがつきました。シエナのキジアーナ音楽院ではイリヤ・ムーシン、チョン・ミュンフンという名指揮者たちに、ウィーン国立音楽大学ではレオポルド・ハーガー氏に、タングルウッド音楽センターでは小澤征爾、ベルナルト・ハイティンクという巨匠たちから指導を受け、その才能を磨きました。

日本での活動

日本国内でのデビューは1998年、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の定期演奏会でした。この時の指揮に対して、音楽現代誌は「押し出しのある熱気を持つ棒」と評し、その存在感を示しました。国内では読売日本交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、大阪シンフォニカー、関西フィルハーモニー管弦楽団、札幌交響楽団など、各地の主要なオーケストラに客演し、多様なプログラムを手がけています。また、2015年9月から2018年3月にかけては、静岡交響楽団の常任指揮者を務め、地域に根ざした活動も行いました。

国際的な活躍

2000年には第2回シベリウス国際指揮者コンクールで第2位に入賞し、国際的な注目を集めます。このコンクールのファイナルはフィンランド国内でテレビ中継され、共演したヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団からは絶大な支持を受け、以降、現在に至るまで毎年定期演奏会に招かれる緊密な関係を築いています。

2001年からは、ロサンゼルス・フィルハーモニックのアシスタント・コンダクターに就任し、3年間にわたりその任を務めました。この間、40回を超えるコンサートを指揮し、古典派から現代音楽の世界初演まで、幅広いレパートリーを意欲的に取り上げました。特に印象的なエピソードとして、2002年には客演指揮者のキャンセルに伴い、急遽定期演奏会の代役として指揮台に立ち、見事な成功を収めました。この成果は大きな話題となり、ロス・アンジェルス・ウイークリー紙の2002年音楽賞「傑出したクラシカルアーティスト部門」にノミネートされるという高い評価を得ました。2004年に任期を終えるまで、ロサンゼルス・フィルとの関係は極めて良好で実りあるものとなり、数多くの絶賛を浴びました。

海外での客演は多岐にわたり、サンノゼ・シリコンヴァレー交響楽団、フィンランド放送交響楽団、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団、タピオラ・シンフォニエッタ、hr交響楽団といったオーケストラを指揮しています。ニュルンベルク交響楽団との共演では、ベートーヴェンの交響曲第7番を指揮し、本場ドイツの聴衆からも高い評価を獲得しました。2004年以降はロンドンに活動拠点を移し、ヘルシンキ・フィルへの毎年恒例の客演に加え、ラトビア国立交響楽団、ベオグラード・フィルハーモニー管弦楽団、BBCスコティッシュ交響楽団、ボーンマス交響楽団、BBCフィルハーモニック、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団など、ヨーロッパ各地のオーケストラに登場しています。また、アンドレ・ワッツ、エマニュエル・アックス、ユーリー・バシュメット、ネクサスなど、世界的な著名ソリストたちとの共演経験も豊富です。2009年秋にはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮することも決定しました。

2007年1月からはフィンランドのキュミ・シンフォニエッタの首席指揮者兼芸術監督に就任し、「ベートーヴェンと20世紀ウィーンの作曲家」シリーズを開始するなど、意欲的な企画で注目を集めています。オーケストラの満場一致により、2009年以降の契約更新も決定し、良好な関係が続いています。2008年には南アフリカを訪れ、ヨハネスブルク・フィルハーモニー管弦楽団、クワズール・ナタール・フィルハーモニー管弦楽団と共演し、2008年、2009年には再客演も実現しました。

入賞歴

1993年：第3回アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクール（最高位）
2000年：第2回シベリウス国際指揮者コンクール（第2位）

人物

ユーモアセンスのある桂三度のファンであることでも知られています。

国際的な舞台での活躍はもとより、その親しみやすい一面も併せ持っています。

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