粟田道麻呂

粟田 道麻呂（あわた の みちまろ）

粟田道麻呂は奈良時代の有名な公卿で、彼の名は当時の政治や歴史に深く刻まれています。彼は姓を臣から朝臣に改め、官位としては従四位下と参議の地位を得ていました。道麻呂の人生は、複雑で波乱に満ちたものであり、彼自身の政治的な活躍やその背後にある人間関係が彼の運命を大きく左右しました。

経歴のはじまり

道麻呂の職務人生は、天平宝字2年（758年）に内薬佑として任命されたことから始まります。彼は同年に従七位下の位階に就いており、次第にその地位を上昇させていきました。

翌年、天平宝字3年（759年）には臣姓を朝臣姓に改め、その後の昇進に繋がる重要な一歩となりました。この改姓は、彼が公的な役割を果たす上での基盤を固めることとなったのです。

官位の昇進と政治的活動

天平宝字8年（764年）1月、道麻呂は正六位上から外従五位下に昇進しました。この年は彼にとって重要な出来事が続きます。同年の7月には授刀大尉に任命されましたが、同年9月には藤原仲麻呂の乱が発生します。道麻呂はこの騒動によって一気に注目を浴び、外従五位下から従四位下、参議へと急昇進し、乱の鎮圧の一翼を担ったことが評価されました。

乱鎮圧後の10月には既に式部大輔、勅旨員外大輔、授刀中将の官職に就いており、さらには因幡守も兼任しました。天平神護元年（765年）1月には、その功績を称えられて勲三等を授与されました。

和気王との関係とその影響

しかし、道麻呂の運命は急転します。彼は同年8月に和気王の謀反に関与したとされ、詔によって厳しく譴責される事態に陥ります。道麻呂は和気王と親しい関係があり、彼が密かに和気王と話して帰る際に、刀が折れてしまうという出来事がありました。この一件により、道麻呂の陰謀への関与が疑われることとなり、彼の名声は地に堕ちてしまったのです。

本来であれば厳しい処罰が待ち構えていたでしょうが、彼は道鏡の取り成しにより一時的に赦されました。その後、解官された後も10日ほどで飛騨員外介に左遷されることになります。加えて、上道斐太都という人物が同様に飛騨守に任命され、道麻呂に対する恨みを抱いていたため、権力の均衡は崩れ、彼の立場はさらなる危機に陥ります。

結末

斐太都は赴任後すぐに道麻呂夫妻を一院に幽閉し、往来を禁じました。そして数ヶ月後、道麻呂夫婦はその院内で命を落とすという悲劇的な結末を迎えました。道麻呂の生涯は、栄光と暗転の両面を抱えたものであり、奈良時代の政治事情を色濃く反映しています。

官歴の記録

道麻呂の官歴は『続日本紀』に記録されています。彼の歩みは、当時の日本の歴史を理解する上で欠かせないものとなっています。例えば、彼が従七位下からスタートしたことや、関連する任命や改姓の詳細は、歴史的な文脈の中で非常に重要な意味を持っています。

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