純恋

純恋

純恋（すみれ、本名：石川 安里沙）は、1987年7月28日に生まれ、2009年6月11日にわずか21歳でこの世を去った日本の女性ファッションモデルです。主にファッション雑誌『小悪魔ageha』の専属モデルとして知られ、そのカリスマ性で多くの読者を魅了しました。岩手県胆沢郡胆沢町（現在の奥州市）の出身です。

家族は、産婦人科で看護師として働く母親と兄の三人でした。母親が夜勤に入ることが多く、幼少期から母の職場である産婦人科に連れられて行く機会が頻繁にありました。そこでは多くの出産の現場に立ち会い、五歳の時には初めて障害を持って生まれた赤ちゃんを目にしました。しかし、純恋さんは幼心にそうした子供たちにも分け隔てなく自然に接していたといいます。地元の南都田小学校、南都田中学校（いずれも現在は奥州市立）を経て、水沢第一高等学校を卒業後、モデル養成を目的とした宮城県仙台市の専門学校に進学しました。

高校時代にはファッションデザイナーになるという夢を抱き、そのための資金を貯めるべく、二十歳から仙台市内のキャバクラで働くことになりました。キャバクラでの源氏名『純恋』は、音楽グループ湘南乃風のヒット曲『純恋歌』に由来しています。店ではすぐにナンバーワンの人気を獲得しました。そして、店を訪れていた『小悪魔ageha』編集者の目に留まり、これをきっかけに読者モデルとしての道を歩み始めます。当初はモデル活動をデザイナーとしてデビューするための近道と考えていましたが、持ち前の魅力で瞬く間に人気モデルとなりました。当時の『小悪魔ageha』編集長、中條寿子氏は、彼女の死後、純恋さんの魅力について「謙虚で控えめ。前に積極的に出ていくタイプではないが、それが逆に心配になって応援したくなる」とコメントし、その人柄を称賛しています。2008年（平成20年）には、仙台市で開催されたファッションショー「仙台コレクション」にゲストモデルとして招かれました。また、早川沙世、市倉利紗といった他のモデルと共にモバイルブランド『DIVAS』を立ち上げ、プロデュースを手がけるなど、活動の幅を広げました。

2009年（平成21年）3月には、モデル活動をより本格化させるため、仙台市から上京します。それまで両立していたキャバクラでの勤務は、体調不良から困難になり、この時期に辞めています。上京後は、『小悪魔ageha』の先輩モデルである早川沙世を姉のように慕っていたと言います。

突然の悲劇

しかし、上京から間もない同年5月頃から、病院で処方された薬を服用しても改善しないほどの激しい頭痛に悩まされるようになります。この頃、いくつかの医療機関を受診しましたが、どの医師からも「ストレスが原因」「片頭痛」と診断されました。そして、2009年6月10日、初めて『小悪魔ageha』の撮影を無断で欠席し、連絡が取れなくなったため、心配した事務所の担当者がマンションを訪れたところ、室内のベッドの上で意識不明の状態で発見されました。翌日未明、脳出血により21歳という若さで帰らぬ人となりました。亡くなる直前の6月2日付けの自身のブログでは、体調を崩して一度地元に戻り療養していたものの、回復したとファンに伝えていました。彼女の突然の死を受けて、ブログには2万件を超える追悼コメントが寄せられ、多くの人がその早すぎる旅立ちを惜しみました。

残されたものと追悼

純恋さんがデザインを手がけていたネックレスは、亡くなるわずか4日前に完成していました。このアクセサリーは同年8月に発売されると、大きな反響を呼びました。彼女の死後、地元である奥州市水沢の花火大会では、友人たちが資金を出し合い、追悼の意を込めた花火を打ち上げました。また、日本テレビ系列の人気番組『ザ!世界仰天ニュース』では、2009年10月7日放送回で脳出血の恐ろしさを伝えるテーマとして、「ギャル系カリスマモデル 突然の死」と題し、彼女の生涯が取り上げられました。その死から10年以上が経過した現在でも、彼女のブログにはファンからのコメントが投稿され続けており、多くの人々の記憶に今もなお鮮明に残っています。

ボランティアへの情熱

看護師である母親の影響もあり、純恋さんは中学生の頃から福祉施設でのボランティア活動に取り組んでいました。2009年4月には、日本児童家庭文化協会での活動を開始し、脳性麻痺の子供たちとの交流などを行いました。5月中旬に体調が悪化してからも、この協会での活動は継続していました。難病や障害のある子供たちのために無償で行われるイルカセラピーの存在を知った彼女は、その開催資金を集めるため、自らデザインしたネックレスの収益を全額協会に寄付することを考案します。体調が優れない中も、この目標のためにアクセサリーのデザインに取り組み続けました。奇しくも、彼女の死からわずか9日後にオリジナルアクセサリーは完成し、7月24日から販売が開始されました。そして、その収益のすべてが、彼女の願い通りイルカセラピーの資金として寄付されました。このことからも、彼女がどれほど他者を思いやる心を持っていたかがうかがえます。

出演情報

• - 雑誌：『小悪魔ageha』（インフォレスト）
• - その他：

- GACKT『小悪魔ヘブン』CDジャケット
- 仙台コレクション（2008年10月19日）

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