素顔のままで (ビリー・ジョエルの曲)

素顔のままで (Just the Way You Are)

ビリー・ジョエルの楽曲「素顔のままで」（原題: Just the Way You Are）は、1977年発表のアルバム『ストレンジャー』からのファースト・シングルとしてリリースされました。B面には、同じくアルバム収録曲である「最初が肝心」が収録されています。

楽曲解説

この曲は、当時のビリー・ジョエルの妻であったエリザベスに捧げられたラブソングです。ボサノヴァのリズムを取り入れたミディアム・スローな楽曲で、イントロから耳を引くフェイザー処理されたフェンダー・ローズピアノはビリー自身による演奏です。間奏と後奏で聴ける印象的なサックス・ソロは、ジャズ・ミュージシャンのフィル・ウッズが担当し、ストリングス・セクションのオーケストレーションはパトリック・ウィリアムズが手掛けています。

興味深いエピソードとして、当初この曲はアルバムから外される可能性がありました。しかし、当時ビリーの妻がマネージメントをしていたフィービー・スノウが、アルバム・セッションにバッキング・ボーカルとして参加した際、この曲を絶賛したことがきっかけで収録が決定したと言われています。（リンダ・ロンシュタットも同席していたという説もありますが、フィービー・スノウ本人は否定しています。）

プロデューサーのフィル・ラモーンは、制作にあたり10ccの楽曲「アイム・ノット・イン・ラヴ」におけるテープ・ループを用いたボーカル処理を参考にしたと語っています。

この楽曲は、ビルボード誌のシングル・チャートでビリー・ジョエルにとって初のトップ10入りを果たし、最高位3位を記録しました。また、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは1位を獲得し、その後、グラミー賞では最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞の2部門を受賞しています。

カバー・バージョン

「素顔のままで」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

バリー・ホワイト (1978年) - アルバム『The Man』に収録。シングルとしてもリリース。
グラント・グリーン (1978年) - アルバム『Easy』に収録。
高中正義 (1978年) - アルバム『ON Guitar』に収録。
グローヴァー・ワシントン・ジュニア (1979年) - アルバム『Reed Seed』に収録。
フランク・シナトラ (1980年) - アルバム『Trilogy』に収録。
阿川泰子 (1990年) - アルバム『YOUR SONGS』に収録。
ジョー・パス (1991年) - ライブ・アルバム『Virtuoso Live!』に収録。
ダイアナ・クラール (2002年) - ライブ・アルバム『Live in Paris』に収録。スタジオ録音カバーをボーナス・トラックとして収録。
大野雄二トリオ (2004年) - アルバム『LUPIN THE THIRD "JAZZ" PLAYS THE "STANDARDS" & OTHERS』に収録。
つんく♂ (2005年) - アルバム『タイプ2』に収録。
槇原敬之 (2006年) - ビリー・ジョエルのトリビュート・アルバム『WANNA BE THE PIANO MAN』で歌唱。
杉山清貴 (2007年) - カバー・アルバム『FEN（Favorite Eternal Numbers）〜Desperado〜』に収録。

映画・テレビでの使用

「素顔のままで」は、映画やテレビ番組でも使用されています。

映画『ブルース・ブラザース』（1980年公開） - インストゥルメンタル・バージョンが使用。
映画『ハッピー・エンディング』（2005年公開、日本未公開） - マギー・ジレンホールが歌唱。
テレビ番組『2時ピタッ!』（2006年、日本） - ミュージカル『ムーヴィン・アウト』のバージョンがエンディングテーマに使用。
トヨタ・エスティマのCMソング (2008年12月〜、日本)。
* ジェイケイハウスのCMソング (2020年10月〜)。

「素顔のままで」は、発表から長年に渡り、多くの人々に愛され続けている名曲です。

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