細川稙国

細川稙国：若き日の苦難と摂津守護としての足跡

細川稙国（ほそかわ たねくに）は、戦国時代の激動期に生きた武将であり、摂津国と丹波国の守護を兼ねた細川京兆家の16代当主として知られています。永正4年（1507年）に細川高国の子として生を受け、母は分家である典厩家当主・細川政賢の娘でした。

元服と家督相続

永正15年（1518年）に元服した稙国は、当時の将軍・足利義稙から偏諱を賜り、「稙国」と名乗るようになりました。大永5年（1525年）には、父・高国が厄年を迎えて出家したため、家督と管領職を譲り受け、細川京兆家の当主となりました。しかし、その管領職在任期間はわずか半年という短いものでした。

突然の死とその後

家督を継いでから間もない大永5年10月23日、稙国は病に倒れ、18歳という若さでこの世を去りました。父・高国は息子の早すぎる死を深く悲しんだと伝えられています。稙国には頼国という息子がおり、後に東国を流浪したとされています。また、仙源院の喝食であった虎松も稙国の子であるという説があります。

親族

稙国の叔父には細川晴国がいます。晴国の生年は長年不明でしたが、近年、馬部隆弘によって『後法成寺関白記』の記述から永正13年（1516年）の生まれであることが明らかにされました。これは、稙国が亡くなった当時、晴国はまだ10歳であり、元服前であったことを意味します。また、馬部は通政（輝政）という人物は長府細川家が創作した架空の人物であるという結論を出しています。

管領就任の謎

稙国が細川京兆家の家督を父・高国から譲られ、管領職を継いだとされていますが、実際には家督継承時や幕府への初出仕の際に、将軍・足利義晴から管領就任の命令が出された記録はありません。そもそも、管領職自体が、大永元年（1521年）12月に義晴の元服関係の儀式が終わった後、高国が辞任して以来、空席のままであったと考えられています。

若くして家督を継ぎ、激動の時代を駆け抜けた細川稙国。その短い生涯は、多くの謎に包まれています。

参考文献

佐藤和彦、錦昭江、松井吉昭、櫻井彦、鈴木彰、樋口州男共編『日本中世内乱史人名事典』新人物往来社、2007年。
福島克彦『戦争の日本史11 畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館、2009年。
岡田謙一「細川稙国」平野明夫編『室町幕府全将軍・管領列伝』星海社、2018年、ISBN9784065136126

関連項目

畿内・近国の戦国時代

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